Anonymous Coward曰く、
昨今ではDRAMやフラッシュメモリの供給過多による値下がりが発生しているが、こういった値下がりを防ぐため、石油業界におけるOPECのような組織が半導体業界でも必要では無いか、との意見が出ている(Bloomberg、Slashdot)。
DRAMは石油に近い立ち位置の製品で、長年の競争の末、DRAMの大手サプライヤーは3社までに絞られ、この3社がDRAM世界供給の95%を占有している。しかし、それでも収益性は安定しない。DRAMの大手サプライヤーSKハイニックスは25日、第2四半期は前年比88%減の大幅減益であったと発表した。同社はDRAMの約30%を供給している(過去記事、PC Watch)。
DRAMには規格が定められ、互換性があることからメーカーによる差はさほどは無い。このあたりが石油に似ている点だ。石油とDRAMは需要と供給のバランスに左右よって価格が左右される点も似ている。利益に関しても工場への投資額や供給量、製品価格に左右される。これは簡単な仕事ではない。
競合他社が生産を維持しているときに、自社が生産を減らせば製品の価格が上昇する。しかし、そのとき発生した利益はライバルに持って行かれてしまう。その対策としてDRAMにも生産数量などを調整する石油輸出国機構(OPEC)が必要なのかもしれない。
現実的にはこの種の団体交渉をテクノロジー企業が行うのは問題がある。独占禁止法の規制当局はこのような慣行を見逃さない。実際にやれば多額の罰金に加え、投獄の可能性もあるだろう。実際、中国政府は昨年、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーが共謀してDRAM価格をつり上げていないか調査を行っている。
中国政府がこうした介入を行った背景には、国策企業がDRAM市場への参入を決めている点もある(日経新聞)。現時点では中同社の半導体技術はDRAMトップフレイヤー3社には遠く及ばない。しかし、国による投資能力と意欲は非常に高い。今後、中国政府の補助金を受けた企業の製品が世界市場に出て来た場合、供給過剰に陥り新たな参入者がすべてを持って行く可能性は十分にある。しかし、DRAM市場のプレイヤーたちは不平を言えるOPECのような調整機関はもっていないのだ。