太陽光発電量が増えても既存の発電所を止められない理由 162
ストーリー by hylom
すぐには変えられない 部門より
すぐには変えられない 部門より
太陽光発電による発電量が増えている九州電力では、今月に入って供給が需要を上回る状態がたびたび発生しており、そのため太陽光発電の受け入れを一部停止する出力抑制が複数回行われている(過去記事、朝日新聞)。
こういった状況のなか、太陽光発電による電力を有効に利用するために原子力発電所の運転を停止させるべきだという声も出ているが、こういった方策はコスト面や電力の安定供給の面で問題があるとの意見がWedgeに掲載されている。
特に問題とされているのは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは発電量が状況によって変化するため安定供給が難しいという点だ。そもそも太陽光発電は昼間しか発電できないため、揚水発電や蓄電池などを利用して昼間の余剰電力を蓄えておく運用が行われるが、これらには維持運用コストがかかるほか、一定の電力損失も発生するといった問題がある。
また、海外では再生可能エネルギーへの移行によるトラブルも発生している。たとえば米カリフォルニア州では太陽光発電の増加で電力網に負荷が発生しているほか、オーストラリアでは電気料金の高騰や大規模停電などが発生している。単純に電力が余ったから既存の発電所を止めれば良い、というわけではないようだ。
太陽光の方が止めやすい (スコア:5, 参考になる)
太陽光や風力は運転に燃料を必要としませんから、なるべくこれらを優先させて、火力等は出力を抑えたり、止めたりします。揚水発電も使います。その方が全体として燃料を節約できますし、九州電力でも今回そういう対応を限界までやっているはずです。
ただ今回のようにそれでもなお余る時は、インバータ出力である太陽光発電の方が、他の電源よりも出力を抑えやすいです。原理的には、任意の電圧・周波数・位相に即時に調節できますから。実際ドイツでも、年間2~3%分ぐらいは出力を抑えてます(下記10ページ)。
https://www.bundesnetzagentur.de/SharedDocs/Downloads/EN/Areas/Electri... [bundesnetzagentur.de]
これに対して今年の九州電力管内での出力抑制率は、おそらく1%にも満たないでしょう。騒ぐようなことではありません。
もっと発電できるのに出力を抑えてしまうのは”勿体ない”と言えばそうなのですが、年に数日しか発生しないような事象のために高価な蓄電池を買ってしまう方が、遙かに”勿体ない”です。
Re:太陽光の方が止めやすい (スコア:1)
寡聞にして知らないのですが...太陽電池パネルに日光がさしたことで発生する電圧は、インバータで簡単に捨てられるのですか?
# 熱になる?
大規模なものについて、発電タービンみたいに動力供給停止的な構造のような安全なものがあるとは知りませんでした
M-FalconSky (暑いか寒い)
Re:太陽光の方が止めやすい (スコア:4, 参考になる)
いやインバータで捨てるのではなくて、そもそもインバータに入ってくる電流を(半導体の)スイッチで止めちゃうイメージですね。
止めちゃった(or減らした)分のエネルギーは太陽電池に留まって熱となるので、インバータでなく、太陽電池パネルの温度が上がります。
脱線ですがこれは太陽光発電設備のトラブル検出にも応用できて、例えば配線ミスでパネルが一枚だけ繋がってないと、そいつだけ温度が他より高いのがサーモグラフィーで見えたりします。
Re:太陽光の方が止めやすい (スコア:1)
# インバータは太陽電池パネルから見たら負荷になります
Re:太陽光の方が止めやすい (スコア:1)
あー、まあそうか、メカが耐えれれば、大丈夫は大丈夫ですかね。
# インバータが分散式でたくさんあるから総量的に耐えられる、かな?
M-FalconSky (暑いか寒い)
Re:太陽光の方が止めやすい (スコア:1)
うん、比喩というか一般名称的な意味ね
M-FalconSky (暑いか寒い)
太陽光発電という発電方式が地域単位での変動要素 (スコア:2)
北海道の地震で、送電網での需要に対して少ない数の大容量の発電機に依存する怖さがよく分かったと思います。
太陽光は地域単位でみれば前線の移動で一気に曇ったり、急速に発達するゲリラ豪雨等の臨時イベントで
急激に供給力が変化するわけで、地域という単位で天候に依存する単発の発電機とみなせます。
需要に対して変動幅の大きい発電機に依存すると、前の地震の時のようになるわけで、変動幅を他の方式の供給源で賄える範囲でしか太陽光での分担にできないわけです。
少なくとも1日のうち日の出/日の入という大イベントに耐えうる代替供給力が存在する状態は維持が必要。
個人的には太陽光をこれ以上進めたいなら自家消費を原則としつつ大量の揚水発電所の追加をすべきかと。
結構な自然破壊ですけどね。
[Q][W][E][R][T][Y]
Re:太陽光発電という発電方式が地域単位での変動要素 (スコア:1)
V2Hも、昼間車使うことが多いと、昼の電力をさらにあまらせて、夜は系統から充電になるんで逆効果って話もありますし。
Re:太陽光発電という発電方式が地域単位での変動要素 (スコア:1)
結局はそれって単価を餌にした節電じゃないですか。
仕組み自体はあってもいいけど、本当に必要な時間帯には機能しないし
今でも大手需要家はすでに節電しているので大きくは対応できないと思うけど。
特に経済活動が活発な昼間は太陽光が効く時間帯だからあまり使われないだろうし。
[Q][W][E][R][T][Y]
次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:1)
次に技術革新が必要なのはバッテリーなので
太陽光に限らず不安定な再生エネをこれ以上進めたいなら、バッテリーの利用を許可して補助金も発電から蓄電側に変更する必要があるのでしょう。
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:4, すばらしい洞察)
太陽光発電は、本来は、バッテリーなり何なりのエネルギーを貯めておく仕組みとセットで導入しないと行けない。
それを、一番うま味のある発電の部分だけをやって、他の面倒くさい部分は電力会社に押しつけ、ってなアンバランスさではそりゃね。
儲かりそうもない蓄電事業とかを受け持つ層を増やさないと。
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:1)
ベースロード電源の役目を担えるだけの安定性もなく、
負荷追従電源としての役目を担えるほどの柔軟性もない。
何をするにも足らない太陽光発電が足りる存在になるためにバッテリーが必要という話であって
給電網全体の話はしてないはずなんだが。
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:2, 興味深い)
エネルギーを貯めることができりゃ十分なので、電気使って燃料作ればいいのよ。
ドイツでは水を電気分解して水素作って、都市ガスに混ぜて使ってるそうな。
発電した電気は蓄電して電気に戻して使う、という考えに固執する必要はなさげ。
※効率とか考えるとどーよ、ってのはあるけど、系統安定のためなら、電気分解は応答性良くていいのではないかなと。
※小規模でも作れるし。
Re:何がバッテリーや燃料電池や水素だよバカバカしい (スコア:1)
いや、水素を都市ガスに混ぜて即座に使っちゃえ、ってのがポイントなので、水素エネルギー社会的資料出されても意味ないのだが。
燃料電池みたいな面倒なもの作らんでもいいやん、というね。
系統安定のために発電せず捨てちゃうぐらいなら、近場の都市ガスに組み込んで消費した方がマシじゃん、という話だと思うのだよね。
こういう合理的な点はドイツを見習ってもいいんじゃないかな。
※そりゃもちろんダメな点が山ほどあるのは分かってんだけどさ。現に発電パネルが余り始めてるんだから有効に使わにゃ。
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:3, すばらしい洞察)
日本の総面積が 3779万ha、森林面積が 2510万ha。
そのサイトの計算による必要な面積は100万haから150万ha。
ってことは森林のうちの 6% くらいか。
ただしこの 6% は、ほぼ里山だよなあ、メンテナンスとか考えると。
それだけの森林を伐採したら環境破壊が無視できないと思うがね。少なくとも保水・治水にかなりダメージ来る可能性がある。
ちなみに黒部ダムで貯水面積 350ha。そう考えると「森林100万ha」ってどんだけ潰すんだよ、ってことになるかと。
-- To be sincere...
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:1)
それによる森林消失は、350ha * 200 で、7万ha? 多少大目に見ても10万ha もいかんでしょう。
って事は太陽光発電は効率が10倍悪い……?
-- To be sincere...
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:1)
太陽光の電力で水素作って燃料電池で発電ってパターンが鉄板なんだけど、
大規模燃料電池が停滞してるんですよね
蓄電は揚水以外直流なのでそのままでは電力網に載せ難いってのは、まぁ
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:1)
最近では火力から回収した二酸化炭素を太陽光発電でメタンを合成、そのまま都市ガスとして利用したり
LNG発電の燃料として再び使い同時に炭酸ガスの規制を緩和する方法が試されてる。
Re: (スコア:0)
超電導フライホイール蓄電システムとか、どうなったんだろう?
Re: (スコア:0)
体積を1/5にしてエネルギーを1/4にするみたいなイタチごっこをやってるね。
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/012210539/ [nikkeibp.co.jp]
ただ、4トンの機器をフル充電で平均5家庭分のエネルギーと考えると、一家に一台ペースで必要じゃないかな、よっぽど安くしないとやってけないと思うが、ランニングコストと寿命がどうなるのか。
Re:次に技術革新が必要なのはバッテリー (スコア:1)
普通に建物をどうにかするのと逆で、地面の方が動きまくって回転中のホイールが”動きづらい”状況で、どこにも触れないように何かをどうにかしなきゃいけないんですもん。
充電(充パワー?)状態によって動きづらさが異なる上に、パワーが大きい時=大地との差が大きいほど”壁”に当たったら危険(剛性で耐えるのは難しい)。
”ホイールを免震にする”のは簡単じゃないよ。
そうじゃなくて、「ホイールが乗ってる建物」を免震にして、ホイール(の軸)はただそこにずっと留まっていてくれるのが一番。
想定外の揺れが来た時点でかなり危険だけど。
Re: (スコア:0)
元々発電した電気を貯めるより、発電するための燃料(もしくは水力の水)を貯めておいた方が簡単ってのが基本でしたから。
送電網との結合を止めればいい (スコア:1, すばらしい洞察)
太陽光発電なんてパネルが買えない層から集めた補助金を吸い上げるためのトークンなんだから
送電線を引くコストを省くためのオフグリッドはともかく売電スキームなんか要らないだろ
Re: (スコア:0)
送電網と発電パネルの間に大規模蓄電設備を義務化して深夜料金帯以外は365日出力を安定させる
できないのなら切断も視野に入れるべき
Re: (スコア:0)
まずは「出力変動を±XXW/s以内に抑える事」が目標ですかね。
優秀な事業者から優先的に出力抑制を回避できるとかで競争させる感じで。
Re: (スコア:0)
個人用原発の開発が待たれるな
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:2)
仮にできたとしても燃料入れ替えなんかしないだろ
製造時に封入、切れたら丸ごと交換だろうね
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:1)
そういえば、進行波炉ってどうなってるのかな?
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:1)
核家族化は問題が多いってことですね。
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:1)
-- To be sincere...
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:1)
原子力炊飯器や原子力蚊取りなどもぜひ!
ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:1)
エコキュートはヒートポンプ式湯沸かし機で、エネファームが燃料電池。
ときどきどっちかどっちだかわかんなくなる。
Re:送電網との結合を止めればいい (スコア:1)
地獄ぽい
今更過ぎる (スコア:0)
太陽光・風力を用いた発電での不安定さなんて最初から分かっていたことなんだけど
まだ「単純に電力が余ったから既存の発電所を止めれば良い」と考えている人の方が多いのかなぁ……。
Re: (スコア:0)
止めりゃーいいじゃない。
原子力は無理としても火力ならなんとかなるでしょ。
原発停止でとんでもない燃料代がーと言うぐらいだし、燃料の節約しなきゃ。
Re:今更過ぎる (スコア:2, すばらしい洞察)
電源スイッチのように
切ったらすぐ発電が止まって
スイッチ入れたらすぐ発電がはじまる発電所の開発がまたれる
Re:今更過ぎる (スコア:4, おもしろおかしい)
Re:今更過ぎる (スコア:3, 興味深い)
#3503709 [srad.jp]みたいな一般人に、発電所は屋台の発発みたいにスイッチオンですぐフル出力での発電が可能という勘違いが有るからでは。
一部方式なら立ち上げが速いけど、汽力発電は応答がゆっくりなので出力を下げすぎると、
「夕方に、太陽光発電の発電減少に対抗する出力増強が間に合わないで停電するよ!」
という事になるのは最低限理解が必要だと思うのですけどね。
しかもそういう運転をすると割高な上に火力発電設備の寿命が短くなるという……
Re: (スコア:0)
応答性ということであればそれこそ太陽光や風力の方が高い(角度を変えれば良い)ので、そういう機構を義務づけるのはどうか。
Re:今更過ぎる (スコア:1)
それ意味無いじゃん。
日が無い所じゃ向き変えても無理、風が無けりゃ向き変えても無理。
根本的なところでずれてる。(アホと言われかねないほど。
Re:今更過ぎる (スコア:1)
たびたび停電しても文句を言わない人ばかりなら問題ない。
情報機器のデータが壊れようが、停電で閉じ込められたりしようが、製造ラインで事故が発生しようが問題ないというのであれば、問題なかろう。
秒単位で変わる太陽光発電の供給に対して、分単位や時間単位でなければフォローしきれない火力でフォローしきれるわけなかろう。
Re:今更過ぎる (スコア:1)
なんでもそうだけど、動いているものは止めるときにもコストがかかるんだよ。
火を消すのも、着け直すのにも余分なコストがかかるから
何度も着けたり消したりするぐらいならずっと動かしていたほうが低コスト。
そういう意味では太陽光を止めるのが一番コストがかからないってことさ。
Re:今更過ぎる (スコア:2)
ソーラーはカンタンにON/OFFできるからね
実際今回もだからソーラーをOFFにするっていうだけの話
そういう意味ではOFFにするには他の太陽光発電含むみんなのためなので、
電気粒々を止めたから料金払いませんってのは良くないな
Re: (スコア:0)
原子力ほどじゃないですけど火力も止めたり動かしたりするのは大変ですよ。
無駄になる燃料もばかになりませんし。
Re:今更過ぎる (スコア:2, 興味深い)
動かしたり止めたりを繰り返すのは運用が大変なのに加えて、大型機だと寿命が縮むことも。
指定期間中(20年とか30年とか)の起動停止回数が、要求仕様の中に記載される業界です。
Re: (スコア:0)
原子力は何とかなるけど火力は止まらんだろ
Re:既得権益がないとは言えないだろう (スコア:1)
その理論じゃ、毎日太陽が見えなくなるとか、頻繁に起きる雨天という自然災害で止まる太陽光より原発や火力を主力にすべきという結論になるぞ。
Re:既得権益がないとは言えないだろう (スコア:1)
※実際、あの大地震の直後に原子炉停止シーケンスは正しく開始されていた
-- To be sincere...
Re:既得権益がないとは言えないだろう (スコア:1)
でも、設計時の想定よりは大きな加速度を受けていたのも事実なので(設計時の倍以上)、それを受けて各原子炉は想定最大加速度を 1000ガル以上に引き上げて耐震設備を適用させてるんだが(福島第一も同じ)。
だから「地震には各施設は耐えて、冷却系も動いていた」という話なんだがな。電源喪失で冷却系が「動かせなくなった」のであって、冷却系が「破断した」わけじゃないので。
-- To be sincere...
Re:既得権益がないとは言えないだろう (スコア:1)
中越沖のときは1000ガル以上(当時の計測器が1000ガルまでしか対応していなくて壊れたため、それ以上であったとしてもいくつかは分からない)の加速度で、それでも冷却水配管その他も耐えてる、ってだけの話なんだが?
で、その中越沖のときの実情を鑑みて基準をより厳しくして、その基準をクリアーするように対策してるわけで。
-- To be sincere...