新型コロナウイルスが中国製の生物兵器だとする論拠はいいかげんなものだった 1
米国のトム・コットン上院議員は日曜日、以前から噂として流れている新型コロナウイルス(COVID-19)が中国製の生物兵器ではないか、という陰謀論を指摘した。彼はフォックスニュースでのインタビューで、武漢市内にある「武漢ウイルス研究所」に言及。同研究所はCOVID-19の発生源とされる武漢市の海産物卸売市場の近くにあり、COVID-19がそこからなんらかの手違いで流出したものではないか、という指摘は以前からある。
しかし、ファクトチェックサイトの「Snopes」によると、こうした陰謀論が広がる背景には、北京の研究所から4回ほどSARSウイルスが流出した事実があったためだが、武漢ではそうしたトラブルは発表されていない。また陰謀論を裏付けするとされる論文は、最初に学術ソーシャルネットワーキングウェブサイトResearchGateに投稿され、その後すぐに削除されている。この投稿論文は武漢ウイルス研究所を紹介した中国のニュースレポートと海産物卸売市場と武漢にある二つの感染症研究所の距離の近さを結びつけて指摘しただけのもので、とても科学的研究とはいえない内容だった。
その元となった中国のニュースレポートの内容は次の通りだ。2012から2013年にかけて、ハンタウイルスの進化の歴史を解読するために、Tian Junhua氏という名前の疾病管理および予防研究者が、10,000匹近くのコウモリを捕獲してサンプリングした。しかし、Tian Junhua氏は、ハンタウイルスに感染したコウモリに噛まれたが、その後適切に自己検疫したと記者団に語ったという。ちなみにこれらのイベントは武漢の研究所とは関係ないフィールドワーク中に発生したもので関連性は薄いとみられる(Snopes、Slashdot)。