レンガサイズで家庭の電力を賄える? 超効率の燃料電池登場 33
ストーリー by hylom
信頼性なども気になるところ 部門より
信頼性なども気になるところ 部門より
DocSeri 曰く、
TechCrunchの記事によると、Bloom Energy社が小型かつ高効率の燃料電池を開発したそうだ。
Bloom Energy社は、“Bloom Box”と呼ばれる小型の燃料電池セルを開発した。セル2個でアメリカの平均的住宅の電力需要を満たす(電力消費の少ない国なら1個ですむ)という。実際、どのくらいのサイズかというと、上の写真にあるように、普通の建築用レンガよりいくらも大きくない。
セル単体でのサイズは3.5インチHDDにして4個分といったところでしょうか。こんなコンパクトサイズで住宅の半分を賄うほどの電力が発生するものかどうか……というのも疑問ですが、これにガス供給パイプや排水設備を付加したとしても冷蔵庫ほどの大きさになるでしょうか。
まあ個人の感想はさておき、
Google、eBay、FedExといった有名企業に試験導入された燃料電池もBloom Boxが初めてだ。Googleのデータセンターの一つで過去1年6ヶ月にわたって4基のユニットが運用されているという。eBayでは5基を運用して過去9ヶ月で$100,000(10万ドル)の電気料金が節約できたとしている。
と大手企業での実績が強調されています。それは勿論、多くの投資を集めるための宣伝効果を期待してのことなんでしょうけど、これ実は発電機でもなんでもなくて、またぞろ新手のエネルギー詐欺なんじゃ……ってのは穿ち過ぎですかね。
SOFCを使った次世代エネファームぽいもの? (スコア:3, 参考になる)
例えばこんなもの
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/product/index.html [tokyo-gas.co.jp] ですが、この写真および仕様に記載の燃料電池ユニットの寸法「780W×400D×860H」と、
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/technology/technology_01.html [tokyo-gas.co.jp] のシステム構成の絵を見比べる限り、燃料電池スタック自体はどんなに大きくても400mmの立方体に収まるようですし、現行の商品でも結構小さいもののようです。
で、今はPEFC(固体高分子形燃料電池)が一般的に使われているのですが、これをSOFC(固体酸化物形燃料電池)にできればもっと効率が上がり、コンパクトになるということで国内でもガス会社等が開発に取り組んでいます(実証試験段階)。Bloom Energy社のものも同じくらいのレベルにあるのかな、と思うのですがどうなんでしょう。
いずれにせよ、発電そのものの効率は(天然ガスの改質等にエネルギーが必要なので)火力発電所に及ばず、スタックで発生する廃熱を給湯用途に使った場合のトータルのエネルギー効率でメリットが出るもののようです。
燃料に注目したい (スコア:2, 興味深い)
燃料が天然ガスというところがミソですね。アメリカには、莫大な量のオイルシェールがあって、近年ガス化技術が開発されています。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100115-00000000-diamond-bus_all [yahoo.co.jp]
この燃料電池が本物であることを願いますが、まずは、オイルシェールによる影響が先に現れるんじゃないでしょうか?
燃料革命はシェールガスから (スコア:3, 参考になる)
LNGの輸入国から輸出国に転換すると言われています。
シェールガスは中国などにも大きな埋蔵量があると言われ、最近の採掘技術革新によって、地球温暖化の議論などにも影響を与えるかも知れません。
Re: (スコア:0)
ええと、NOBAXさんが張られたリンク先、親コメントの#1723964さんが示された記事と同じもののように見えるのですが……。
Re:燃料革命はシェールガスから (スコア:2)
オイルシェールというのは頁岩の中にしみ込んだ石油で、シェールガスというのは天然ガス、
ものが違います。オイルシェールをガス化するのではなく、もともとガスとして含まれているものを
取り出す技術が開発されたということです。
別のリンクを張っておきます。
北米のシェールガス革命 [jogmec.go.jp]
Re:燃料に注目したい (スコア:1)
特に天然ガスは「備蓄が出来る」点が大きいんでしょうな。
今回の燃料電池は、備蓄したガスをぶちこめば電気が生まれる効率の良い発電装置なわけなので、アメリカ送電事情を考えれば電力会社に命運を握られたくないGoogleなんかでは喉から手が出るほど欲しいでしょう。
今回の発表は、大口顧客への販売向けプレゼンの様な気がします。
既に予算超過も著しく、大量生産の目処も立っていない、しかし75万ドルからの装置は既に動いていて5年~10年で元が取れる実績もあるってのを有名人総出演で訴えているわけで。
がっちりNDA結んででも毎年10万ドル節約できるなら購入したいと考える顧客を増やして稼いでいくつもりなんでしょう。ご家庭向けよりは、政府や自治体向けを念頭に置いてるんじゃないかなあ。
とんでもない高信頼性で送電が守られている日本には、たぶんやってこないんではないかと思います。
# いつか太陽電池で雨から水素作って備蓄して各ご家庭で発電、なんて未来にならなければ:-)
確かに怪しい (スコア:2)
英語の記事を流し読みしてる限りでは,単なる効率の良いSOFC(酸化物型燃料電池)っぽそうなのに,なんでこんなもったいまわった宣伝の方法をする必要があるんだろうと思ったり.効率とかの具体的な数字が出てこなくてイメージ先行な辺りもなんか怪しげ.
Re:確かに怪しい (スコア:1, 参考になる)
>効率とかの具体的な数字が出てこなくてイメージ先行な辺りもなんか怪しげ.
ありますよ?
ES-5000 Energy Serverデーターシート [bloomenergy.com]
実際に試験導入しているeBayやGoogleには、このコンテナが何十と並んでいるようです。
100kWで重さ10トンですからレンガのイメージとは大違いですね。
Re:確かに怪しい (スコア:2)
ありがとう.効率で50%越えれば,モノジェネでもメリットが出てくるのですね.稼働に水もいらない(天然ガスを改質していない)し,SOFCのメリットを十分に生かした良い設計ですねえ.
そんなことより (スコア:1)
携帯電話やノートパソコンのバッテリをたっぷりと贅沢に使い捨てできる時代はまだですか?
ひところ日経のメディアでチヤホヤされてた気がするのだが、夢と消えるか…
Re: (スコア:0)
せっかく一次電池を買い溜めしておく時代から、二次電池の時代になったと思ったのに、どうして人々は不便な時代(使い捨てできる時代)に戻りたがるのかわからない。夜中に電池がなくなって、備蓄もなかったら買いに行かなきゃいけない時代に戻るのか。
バックトゥザフューチャーでこんなシーンがあったっけ。未来の人は健康のために走ると過去で言ったら大笑いされた。走らなくて済むために乗り物を考えたのに、未来人は走らなくてもいいのに走りたがるのかと。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
でも本体へ内蔵するカートリッジだと規格の問題が再発するので、充填方式の規格を決めて外部から充填する形式のカートリッジの方が便利そうだ。
カートリッジ自体を再充填出来るようにしておけば自家充電できて充填時間の短縮も図れて一番いいのだが、問題は各部品の耐久性か。
参考 (スコア:1, 参考になる)
ナショナルジオグラフィック日本語版 [nationalgeographic.co.jp]より
乗用車の出力が2リットル弱の体積から発生していることを考えると、家庭の電力発生源がレンガ大なのはなにもおかしくないかと。
Re:参考 (スコア:1)
この数値は排気量だと思われますので、
「普通の建築用レンガよりいくらも大きくない」大きさに
エネルギー源の供給パイプを付けて電気を取り出す機械の容積と
単純に比較はできないんじゃないですかね。
答えはある。それを見つける能力が無いだけだ。
燃料電池 (スコア:1, 参考になる)
60 Minutes の動画 (スコア:1)
60 Minutes の動画はこれ [cbsnews.com]でいいのかな?
5:30 くらいから構造の説明があって 7:00 ぐらいから冷蔵庫サイズの発電機が見れる。
横から燃料と空気を供給して電気を取り出す機械らしい。
上の写真?! (スコア:1)
と書かれて、右上の電力トピックのアイコンを見たのは僕だけじゃないはず。
ドウシテオレハ、ココニイルンダ!
は? (スコア:0)
>これ実は発電機でもなんでもなくて
「電池」って自分で書いておいて何を?
発電装置/Re:は? (スコア:3, 参考になる)
燃料電池も太陽電池も「電池」 [wikipedia.org]という名称の「発電装置」ですよ。
ガスから電気への変換効率は? (スコア:0)
火力発電所でガスを燃やした場合と比較して、同等以上の変換効率は達成できているのかな?
そうじゃなければ資源の寿命を縮めるだけだと思う。
Re:ガスから電気への変換効率は? (スコア:1)
#電気料金の節約云々は、契約自体を変えてしまっているのかも
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
火力発電の発電効率は平均で40%ぐらい。新しめの効率化プラントで50%ちょい程度。ここから送電ロスで5%(元の化学エネルギー比)程度下がる。
一方の燃料電池は、実用化されているものでおよそ40-45%でほぼ同等。次世代型で50-60%出てるものもある(まだ普及はしていない……って旧世代の方もだけど)。
燃料電池での発電時の廃熱の利用を考えなければ火力とコンパラかちょっと燃料電池優位、廃熱を給湯などにも利用するなら燃料電池優位。
ただし燃料電池の触媒がどの程度の年月/発電量でヘタってくるかは知らん。
#実験室レベルでの加速試験でならまあそれなりの成績出てるけど。
Re:ガスから電気への変換効率は? (スコア:3, 参考になる)
火力発電所の効率を低く見積もって,燃料電池の効率は高く見積もるってのはもう売っているフェイズなんだから,読んでいて愉快なものじゃない.
送電ロスって,東京電力曰く(発電端電力の)5%だから,効率的には3%も下がらない.最新鋭のコンバインドサイクルの発電効率も50%ちょいというよりか,50%半ばから,研究開発では60%越えをうかがう段階(HHVとLHVでだいぶ雰囲気は変わるけど).
逆に,現状売っている家庭用燃料電池で40%超えるような効率のものは聞いた事がないから,発電のみでは勝負にならない.SOFCなら発電ロス込みか,下手をするとなしでも勝てるので,期待はしているけど普及はいつになるんでしょうね.
Re:ガスから電気への変換効率は? (スコア:2)
上でもあったけれど、
火力発電って、基本的に、半日単位とかでは止められないんですよね?
あるいは、止めるとかなりのロスが出るんですよね??
だとすれば、深夜ロスとなっている電気を勘案すれば、結構いい勝負になりそうな……
深夜電力に詳しいエロい人の解説求む。
Re:ガスから電気への変換効率は? (スコア:3, 興味深い)
コンバインドサイクルですけど、TEPCOの川崎火力発電所 [tepco.co.jp]は熱效率59% [tepco.co.jp]を謳ってますね。
姫路ではさらに温度を上げた1600℃級コンバインドサイクル発電で熱效率61%を目指すそうですが……。
# 最初聞いたときは何の冗談かと思いました……。
Nullius addictus iurare in verba magistri
Re: (スコア:0)
燃料電池の燃料を精製するコストは計算に入ってないよね?
Re: (スコア:0)
発電効率-現行:同等
発電効率-新世代:同等
発電効率の伸びしろ:燃料電池優勢?
送電効率:燃料電池優勢
耐久性能:火力発電優勢?ここは技術開発次第
排熱利用:燃料電池優勢
供給安定性:燃料電池優勢(燃料を利用者がストック出来るはずだし間違ってないよね?)
余剰電力の発電電力量での調整:燃料電池優勢
余剰電力の利用電力量での調整:燃料電池優勢
触媒や装置全体の寿命や信頼性の問題は、研究著しい所だろうし実績を積めばいい話だったりするはずだから、燃料電池が優勢って事でいいと思うのだけれど。
タクシーの燃料って (スコア:0, 参考になる)
と思ったらこれ
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1316835533
これのどれかが、レンガサイズになったのでは?
Re: (スコア:0)
燃料電池はガスのエネルギーを直接電気に変換するもの、そっちはガスのエネルギーを回転運動に変換している(ガソリンエンジンとかと一緒)ので違いますね。
#さらに回転運動で発電機を回して電気に変換できますけど、2段階になる分大きくなるし効率も落ちる。
##実は火力発電所も燃料→回転運動→電気だけど、あれだけ規模がでかくなれば効率もよくなる。
ちなみに、トラックなんかでは天然ガス車もよく見かけますね
寿命 (スコア:0)
寿命はどのくらいなんでしょうね?
あっという間に劣化して文字どうりレンガになったのではシャレにならない。
もともとセパレーターの耐久性が開発の壁になってたんだし、”レンガ”って表現は縁起が悪いような気がするんだが。
何か変わっているの? (スコア:0)
自動車用の燃料電池なんてのは、一台でウン十件分の負荷をカバー出来るモノですよね。
それが車のサイズに収まるのであれば、それを分割すればこんなものでは?
というか、エネファームのセル部分と比べてそんなに差があるかなぁ?