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幾つか統計資料を投下しときます。
・家庭用の電力料金は、この十数年で約2倍に上がっています(5ページ) [challenge25.go.jp]。ただし上昇分の半分は、税金等によるものです。
・一方で卸(や、賦課金が減免されている大口向け)電力価格は、再エネの普及を本格的に始めた2004年頃と同水準になっています [vik.de]。
・市場取引価格は、全体的に昼間(=企業が活動する時間帯)が安くなっています [renewables...tional.net](元の報告はこちら [solarwirtschaft.de]、ただしドイツ語)。太陽光の普及によります。
・買取制度(EEG、いわゆるFIT)による買い上げ価格は、今年初めの時点で太陽光で9.5セント~13.7セント/kWh、陸上風力で8.8セント/kWh前後 [germanenergyblog.de]等で、平均的な火力発電に近くなってます。(一方で日本の買い取り価格は、この2倍以上。もっと下げたらいいのに)
・再エネは現時点で電力の約1/4を供給するようになっていますが、その普及がドイツ経済全体に与えている影響は、全体にポジティブです [diplo.de]。今後、化石燃料の高騰の影響を抑えつつ新しいビジネスを産み出すことで、さらに経済に貢献するとみられています。
・なお「フランスから電力を…」という理屈の批判がありますが、実際のところ、ドイツはフランスに対して電力を売っている量の方が多いです [livedoor.jp]。国境でやりとりしてる量だけ見るとドイツの輸入が多く見えますが、それはドイツ経由でさらに他国へ輸出されている電力があるから。そもそも、やりとりしてる量自体が小さいです。
すごく大ざっぱに言えば、家庭が普及の初期費用を払うことで、大口向け電力価格への化石燃料の高騰の影響を中長期的に抑えた形になってます。他国に対してむしろ国内企業が有利になってきたので、EUに文句を言われています。
ちなみにこの間、原油の価格は数倍に値上がりしています [eia.gov]。ガス [ecodb.net]も、安くなっているのは米国だけですね。石炭も昔に比べれば高い [ecodb.net](今後はどうなるのかな)。
言い換えれば、家庭からお金を徴収して企業の利益にしたってことだよね。消費税を増税して、企業の減税を進めるどこかの国の政府と全く同じ方向。そういう意味ではどこかの国の政府がドイツ流の太陽光発電を進めるのは一貫した政策と言えるのかな。
日本とドイツでは、似て非なる点があると思います。
再エネは運転用の化石燃料費が要りませんけど、普及初期にはどうしてもそれなりにお金がかかってしまいます。ドイツの場合、その費用を出す主体として家庭用電気料金が選ばれ、その代わりに企業はそれ以上に国内雇用や景気を良くすることで応えた形です。
一方で日本の現状を見ますと、そこまでのコンセンサスが取れていない段階で、太陽光について他国よりも非常に高い買い取り価格が設定され、のみならず当初予定を遙かに上回るペースで導入が進んでしまいました。そこは批判の対象になり、また是正が必要な点と思います。
# 何故急にあのように高い価格になったのか、個人的には今でも理解に苦しみます。そのような暴走まで想定した法体系になっていれば良かったと悔やまれます(現行法では、大臣が動かないと予定外の減額等は無理のようです)。
もしも、家庭からお金を徴収して企業の利益にするという方針を仮定するなら、異常に高い買い取り価格や、申請時の価格のまま、長期間買い取り価格が保証される制度も一貫性がありますね。仮定の話だから、これが理由だと言い切るつもりはありませんが。
現状の日本の課題の一つを言い当てておられるように思います。
そもそもそのお金がどこにどれだけ流れて行って、どういう風に使われたのかという、コスト構造の調査が不足しているように思います。技術開発、人材教育、広告費等に使われたのはどれぐらいか。設置地域周辺の経済にはどの程度貢献してるのか(現状だとめちゃ少ないのでは…)。各種手続きにかかった費用は。そしてこうしたお金が、最終的にどの程度、発電コスト低減に寄与し、また社会に貢献しそうなのか。あるいは無駄になりそうなのか。というか、パネルが安くなってそれ以外のコストの割合が増えた今、そもそもどこのコスト低減に注力すべきなのか。
経産省の資料 [meti.go.jp]でもある程度のデータは集められてる(たとえば42ページ目あたりから)のですが、まだまだ大ざっぱです。例えば米国でのこの分析例 [lbl.gov]と比べられると、何が足りないかイメージできるかもしれません(59ページのこの報告書全部が、米国とドイツのコスト構造の違いの分析)。
ここまで高いお金を出して頂くなら、その行き先をもっと透明にした上で電力消費者に理解を求めるべきなのだろうと思います。手間はかかるでしょうが、金額と影響範囲を考えれば、、。
業界側も、たとえば欧州のEPIA [epia.org]はいろいろな分析・予測資料を出しているんですが、日本のJPEAのサイトの資料 [jpea.gr.jp]は貧弱です。いくら数年前まで弱小貧乏業界だったといっても、せめて今後のコストの見通しのコミットメントぐらいは欲しいと思います。
企業から税金を取って企業向けに補助金を配る、家庭から税金を取って家庭向けに福祉を配る、それは合理的じゃないかしら。
それとも国民の望みは、「企業から税金を取って家庭向けに福祉を配る」なのかなあ
>なお「フランスから電力を…」という理屈の批判がありますが、実際のところ、ドイツはフランスに対して電力を売っている量の方が多いです [livedoor.jp]。
これ、勘違いしている人が多いけど、多く売っているから優れていると言うことではないですよ。電力網に関して言えば「常に足りなくならないこと」が至上命題であって、売電量の大小について言えばぶっちゃけコストバランスが取れていれば「どうでもよいこと」です。
#その売電ですら、自然エネに大量の税金と消費者から巻き上げたお金を投下して激安に販売している(コストバランスが極悪)んですけどね。
実際、ドイツがフランスから輸入している電力はこの「電力を常に足りるようにするため」の生命線であって、フランスが脱原発して電力を売らないとなったらドイツの電力網が一気に崩壊するだけです。
既に示した資料で指摘されてますが、ドイツ国内の太陽光+風力の合計66GW以上に対し、フランスとの連系線の容量は3GWしかなく、日常的な変動を補うには役不足です [livedoor.jp]。加えて、原発をそのような調整力として使うのは、特性やコストの面で不利と思われます。
また仮に3GW程度の調整力不足で「崩壊」するというならその分はガスタービンの発電所でも建てておけば済む話で、その程度の容量が「生命線」だなどと主張されるには当たらないと存じます。
>多く売っているから優れていると言うことではないですよ全くその通りですが、再エネを否定されようとする方々が妙にお好きなんですよね。また輸出入自体は他国ともしているのに、フランスばかりを好むのも妙な話です。もしも原発をもっと使ってくれとおっしゃりたいなら、されるべきはデマや詭弁で他の技術を貶めることでは無いでしょうに。
>コストバランスが極悪何を持って「極悪」と言っておられるのか、全く定量的な論拠を示されていませんね。
# ACで。特に後者は定量的な論拠を示されない限り、不毛になりそう。
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Stay hungry, Stay foolish. -- Steven Paul Jobs
家庭用(夕方):↑、大口(昼間):↓ (スコア:4, 参考になる)
幾つか統計資料を投下しときます。
・家庭用の電力料金は、この十数年で約2倍に上がっています(5ページ) [challenge25.go.jp]。ただし上昇分の半分は、税金等によるものです。
・一方で卸(や、賦課金が減免されている大口向け)電力価格は、再エネの普及を本格的に始めた2004年頃と同水準になっています [vik.de]。
・市場取引価格は、全体的に昼間(=企業が活動する時間帯)が安くなっています [renewables...tional.net](元の報告はこちら [solarwirtschaft.de]、ただしドイツ語)。太陽光の普及によります。
・買取制度(EEG、いわゆるFIT)による買い上げ価格は、今年初めの時点で太陽光で9.5セント~13.7セント/kWh、陸上風力で8.8セント/kWh前後 [germanenergyblog.de]等で、平均的な火力発電に近くなってます。(一方で日本の買い取り価格は、この2倍以上。もっと下げたらいいのに)
・再エネは現時点で電力の約1/4を供給するようになっていますが、その普及がドイツ経済全体に与えている影響は、全体にポジティブです [diplo.de]。今後、化石燃料の高騰の影響を抑えつつ新しいビジネスを産み出すことで、さらに経済に貢献するとみられています。
・なお「フランスから電力を…」という理屈の批判がありますが、実際のところ、ドイツはフランスに対して電力を売っている量の方が多いです [livedoor.jp]。国境でやりとりしてる量だけ見るとドイツの輸入が多く見えますが、それはドイツ経由でさらに他国へ輸出されている電力があるから。そもそも、やりとりしてる量自体が小さいです。
すごく大ざっぱに言えば、家庭が普及の初期費用を払うことで、大口向け電力価格への化石燃料の高騰の影響を中長期的に抑えた形になってます。他国に対してむしろ国内企業が有利になってきたので、EUに文句を言われています。
ちなみにこの間、原油の価格は数倍に値上がりしています [eia.gov]。ガス [ecodb.net]も、安くなっているのは米国だけですね。石炭も昔に比べれば高い [ecodb.net](今後はどうなるのかな)。
Re:家庭用(夕方):↑、大口(昼間):↓ (スコア:3)
言い換えれば、家庭からお金を徴収して企業の利益にしたってことだよね。
消費税を増税して、企業の減税を進めるどこかの国の政府と全く同じ方向。
そういう意味ではどこかの国の政府がドイツ流の太陽光発電を進めるのは一貫した政策と言えるのかな。
Re:家庭用(夕方):↑、大口(昼間):↓ (スコア:3)
日本とドイツでは、似て非なる点があると思います。
再エネは運転用の化石燃料費が要りませんけど、普及初期にはどうしてもそれなりにお金がかかってしまいます。
ドイツの場合、その費用を出す主体として家庭用電気料金が選ばれ、その代わりに企業はそれ以上に国内雇用や景気を良くすることで応えた形です。
一方で日本の現状を見ますと、そこまでのコンセンサスが取れていない段階で、太陽光について他国よりも非常に高い買い取り価格が設定され、のみならず当初予定を遙かに上回るペースで導入が進んでしまいました。そこは批判の対象になり、また是正が必要な点と思います。
# 何故急にあのように高い価格になったのか、個人的には今でも理解に苦しみます。そのような暴走まで想定した法体系になっていれば良かったと悔やまれます(現行法では、大臣が動かないと予定外の減額等は無理のようです)。
Re:家庭用(夕方):↑、大口(昼間):↓ (スコア:2)
もしも、家庭からお金を徴収して企業の利益にするという方針を仮定するなら、異常に高い買い取り価格や、
申請時の価格のまま、長期間買い取り価格が保証される制度も一貫性がありますね。
仮定の話だから、これが理由だと言い切るつもりはありませんが。
Re:家庭用(夕方):↑、大口(昼間):↓ (スコア:2)
現状の日本の課題の一つを言い当てておられるように思います。
そもそもそのお金がどこにどれだけ流れて行って、どういう風に使われたのかという、コスト構造の調査が不足しているように思います。
技術開発、人材教育、広告費等に使われたのはどれぐらいか。設置地域周辺の経済にはどの程度貢献してるのか(現状だとめちゃ少ないのでは…)。各種手続きにかかった費用は。
そしてこうしたお金が、最終的にどの程度、発電コスト低減に寄与し、また社会に貢献しそうなのか。あるいは無駄になりそうなのか。というか、パネルが安くなってそれ以外のコストの割合が増えた今、そもそもどこのコスト低減に注力すべきなのか。
経産省の資料 [meti.go.jp]でもある程度のデータは集められてる(たとえば42ページ目あたりから)のですが、まだまだ大ざっぱです。例えば米国でのこの分析例 [lbl.gov]と比べられると、何が足りないかイメージできるかもしれません(59ページのこの報告書全部が、米国とドイツのコスト構造の違いの分析)。
ここまで高いお金を出して頂くなら、その行き先をもっと透明にした上で電力消費者に理解を求めるべきなのだろうと思います。手間はかかるでしょうが、金額と影響範囲を考えれば、、。
業界側も、たとえば欧州のEPIA [epia.org]はいろいろな分析・予測資料を出しているんですが、日本のJPEAのサイトの資料 [jpea.gr.jp]は貧弱です。いくら数年前まで弱小貧乏業界だったといっても、せめて今後のコストの見通しのコミットメントぐらいは欲しいと思います。
Re: (スコア:0)
企業から税金を取って企業向けに補助金を配る、
家庭から税金を取って家庭向けに福祉を配る、それは合理的じゃないかしら。
それとも国民の望みは、「企業から税金を取って家庭向けに福祉を配る」なのかなあ
Re: (スコア:0)
>なお「フランスから電力を…」という理屈の批判がありますが、実際のところ、ドイツはフランスに対して電力を売っている量の方が多いです [livedoor.jp]。
これ、勘違いしている人が多いけど、多く売っているから優れていると言うことではないですよ。
電力網に関して言えば「常に足りなくならないこと」が至上命題であって、
売電量の大小について言えばぶっちゃけコストバランスが取れていれば「どうでもよいこと」です。
#その売電ですら、自然エネに大量の税金と消費者から巻き上げたお金を投下して激安に販売している(コストバランスが極悪)んですけどね。
実際、ドイツがフランスから輸入している電力はこの「電力を常に足りるようにするため」の生命線であって、
フランスが脱原発して電力を売らないとなったらドイツの電力網が一気に崩壊するだけです。
Re:家庭用(夕方):↑、大口(昼間):↓ (スコア:2)
既に示した資料で指摘されてますが、ドイツ国内の太陽光+風力の合計66GW以上に対し、フランスとの連系線の容量は3GWしかなく、日常的な変動を補うには役不足です [livedoor.jp]。加えて、原発をそのような調整力として使うのは、特性やコストの面で不利と思われます。
また仮に3GW程度の調整力不足で「崩壊」するというならその分はガスタービンの発電所でも建てておけば済む話で、その程度の容量が「生命線」だなどと主張されるには当たらないと存じます。
Re: (スコア:0)
>多く売っているから優れていると言うことではないですよ
全くその通りですが、再エネを否定されようとする方々が妙にお好きなんですよね。また輸出入自体は他国ともしているのに、フランスばかりを好むのも妙な話です。
もしも原発をもっと使ってくれとおっしゃりたいなら、されるべきはデマや詭弁で他の技術を貶めることでは無いでしょうに。
>コストバランスが極悪
何を持って「極悪」と言っておられるのか、全く定量的な論拠を示されていませんね。
# ACで。特に後者は定量的な論拠を示されない限り、不毛になりそう。