米連邦地裁、公共交通機関利用時のマスク義務付けを取り消すよう命ずる
タレコミ by headless
headless 曰く、
米フロリダ中部地区連邦地裁の Kathryn Kimball Mizelle 判事は 18 日、米疾病予防センター (CDC) による公共交通機関でのマスク着用義務付けを無効とする略式判決を下した (裁判所文書: PDF、 The Verge の記事、 Ars Technica の記事)。
この裁判はフロリダ州民 2 名と Health Freedom Defense Fund がマスク非着用者に公共交通機関利用を禁ずるマスク義務付けは違法だと主張し、無効化を求めてジョー・バイデン米大統領らを訴えたもの。原告・被告双方が略式判決を請求していた。
今回争点となったのは、CDC がマスク義務付けの根拠とする合衆国法典 42 編 264 条 (a) の「sanitation」をどのように解釈するかということだ。判事は辞書的な意味として「健康を害するものを取り除いて衛生的にする」「衛生状態を維持する」の 2 つを挙げ、前者はマスクがウイルスを含む飛沫をとらえるにしても着用者や乗り物をサニタイズするわけではないと指摘する。
CDC は後者を採用しているが、条文では sanitation とともに「inspection (検査)」「fumigation (燻蒸)」「disinfection (殺菌)」「pest extermination (有害生物駆除)」「destruction (破壊)」が列挙されており、判事は広い意味の「衛生状態を維持する」と解釈すると他の項目が不要になってしまうと判断。さらにこの条項の対象が人間ではなく物品であること、人間を対象にする 264 条 (b) ~ (d) では対象者が伝染病に感染していると考えられる合理的な理由が必要であること、条文にあいまいな点がないため裁判所が行政機関の法解釈を尊重するシェブロン敬譲も適用されないことを挙げ、CDC の解釈を否定している。
このほか、マスク義務付けにあたって CDC が適切な意見募集を行わなかったこと、CDC が理由を適切に説明せずにマスク着用を義務付けることは行政手続法 (APA) が禁ずる「独断で気まぐれ」な措置にあたることなどを指摘してマスク義務付けを取り消すよう命じた。
判決を受けて米運輸保安庁 (TSA) は公共交通機関でのマスク着用を強制しないと発表した。CDCは引き続き公共交通機関利用時のマスク着用を推奨するとのことだ (TSA のプレスリリース、 CDC のマスク義務付けに関する発表)。