外観からは識別できないSMR採用のHDDが増えている? 71
ファームとNASの改善で対応できるのかな 部門より
taraiok曰く、
Western Digitalなどのストレージベンダーが、これまでの磁気記録方式であるCMR(Conventional Magnetic Recording)に代わり、SMR(Shingled Magnetic Recording)方式を採用したHDDの出荷を「静かに」開始したという噂が流れている。SMRはCMRよりも記録密度が高く、同枚数のプラッターであればより大容量化を行うことができる。その一方で、ランダムアクセス性能は低下するとされている。これまでSMRはアーカイブ向けなどとされる大容量のモデルでのみ採用されてきた(Ars Technica、Slashdot)。
しかし、Western DigitalやSeagateなとのストレージベンダーが、おそらくは製造コストを低減するため、低容量のHDDにもSMR採用製品を混在させているという噂が出始めた。発端は数週間前にzfs-discussメーリングリストに流れたメッセージだ。このメッセージでは、WDとSeagateはSMR方式の製品を型番などを変えずに混ぜているとするものだった。Ars Technicaの記事によれば、Western Digitalの場合はNAS向けとされるWD REDのラインにSMR採用製品が混ぜられているという噂を紹介している。記事では、これらを識別する方法としては購入後にベンチマーク計測を行い、シーケンシャルライトの速度を測るしかないと紹介している。
こうしたメーカー側のCMRからSMRへの予期しない変更から、NASドライブなどでパフォーマンスの低下と言った予期せぬトラブルも報告されている。長いタイムアウトのためにドライブがアレイから排除された例も複数報告されている。SMRディスクはバックグラウンドでガベージコレクションを実行する。このときに新しい書き込みが受け入れられない状態が長期間続いてしまい、ディスクを不良があると判定した可能性があると指摘している。
zfs-discussメーリングリストで問題を報告したユーザーが、Western Digital UKのエンタープライズのセールスマネージャーであるYemi Elegunde氏に問い合わせたところ、当初、Western Digitalが生産する唯一のSMRドライブは、Ultrastarシリーズのみだとする回答が戻ってきた。ところが、Elegunde氏はのちにこの回答を修正した。それによれば、WD Redの容量2~6TBモデルは、シングル磁気記録(DMSMR)を採用して、面密度と容量を最大化しているとして、メーリングリストでの噂を肯定する内容となっている。WD Red 8~14TBドライブは従来のCMRを使用しているという。
なおこれの回答はElegunde氏による個人的なもので、Western Digitalによる公式な声明というわけではないようだ。
SMRではデータ書き込み時に隣接ブロックも一緒に書き換えてしまうため、ランダムアクセス時の性能劣化が問題となる。この問題への対策としてHDD内にキャッシュが用意されており、一般的な利用では大きな性能劣化は発生しないが、大量のランダム書き込みを行うようなケースでは性能低下が発生するという(過去記事)。