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電力

石炭を燃やすことなしに電力を取り出す技術 63

ストーリー by hylom
おだやかに燃やす 部門より
eggy 曰く、

オハイオ州立大学が、石炭を燃やさず、代わりに化学反応を起こすことでエネルギーを作り出す技術「Coal-Direct Chemical Looping(CDCL)」および、石炭から得られた合成ガス(syngas)を燃料とする同様の技術「Syngas Chemical Looping」を用いた発電プラントシステムを開発したとのこと。従来の火力発電では、燃料を炎で燃やしたときに発生する二酸化炭素が空気中に排出されてしまうが、今回の技術があれば発生した二酸化炭素の99%を回収して封じ込めることができるそうだ(本家/.Ohio State University記事)。

CDCLでは、小さなビーズ状の酸化鉄を使って化学反応を起こさせるという。100マイクロメートルほどの石炭粒子を燃料とし、鉄のビーズは1.5ミリ程度。石炭粒子と酸化鉄が化学反応を起こすまで熱を加えると、石炭粒子が酸化鉄の酸素と結合して二酸化炭素が作り出され、同時に熱が発生するという。このとき石炭は灰になるが、鉄の粒は灰に比べてずっと大きいので、灰だけを取り除いて捨てることができるそうだ。また、発生する二酸化炭素はチャンバーに閉じ込めて回収するという。

同研究グループは、石炭と合成ガスを燃料とする2つの試験プラントを大学のキャンパス内に設置した。両装置の稼働時間は合計すると830時間にもおよび、プラントの性能を充分に証明できたとしている。いずれのプラントも貯湯タンクのような形をした高さ7.6メートルの金属の気筒に格納されており、熱エネルギーの生産能力は25サーマルキロワットだという。

次の目標はプラント規模の拡大ということで、米エネルギー省国立CO2回収センター内に合成ガスを燃料とする250サーマルキロワット規模の試験プラントを建設し、今年末には運転を開始するとのこと。

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  • 燃やしてるでしょ (スコア:5, すばらしい洞察)

    by miyuri (33181) on 2013年02月26日 7時48分 (#2332571) 日記

    酸化して発電に十分な熱を出しているんだし。

  • by NOBAX (21937) on 2013年02月26日 9時33分 (#2332641)
    日本では石炭ガス化複合発電 (IGCC:Integrated coal Gasification CombinedCycle)を推進しています。
    石炭と空気を高温で反応させた可燃性ガスの燃焼によりガスタービンを回し、さらにその排熱で蒸気タービンを回すシステムです。
    現状の石炭火力発電も日本は最高水準で超々臨界圧発電によって発電効率は40%以上になっています。
    また、石炭火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)の回収技術実証実験も行われています。

    米国が進んでいるとも思えませんが。
  • つまり (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2013年02月26日 8時06分 (#2332579)

    巨大な使い捨てカイロなのですね、わかります。

    • by Anonymous Coward

      熱を加えなきゃならんだろ、反応の向きが逆だろ。

      • by Anonymous Coward

        えっ?

      • by Anonymous Coward

        反応するまでだから、いったん始まれば自分の熱で回り続けるんだと思うよ。

        てかエネルギーはエネルギーだが、電気に変換できないわ不安定(反応温度を下回るとたぶん止まる)だわで、何のメリットがあるのかわからん。
        床暖房にでも使うのかな。。。

        • by deleted user (18918) on 2013年02月26日 9時29分 (#2332637) 日記

          > てかエネルギーはエネルギーだが、電気に変換できないわ不安定(反応温度を下回るとたぶん止まる)だわで、何のメリットがあるのかわからん。

          蒸気タービン回して発電するんじゃなくて?

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            を。そう書いてたね。原文読まずにすまん。
            ついカイロのイメージで70度くらいだと思ってた。

            まだ研究段階だろけど、鉄ビーズは無期限に使えるし炎の形で燃焼しないなら炉の寿命も延びるし、いいことづくめな気がしてきた。

            煤塵も上がらないんだろうか。炉内で対流が起きなければCO2回収も楽だよね。超音波とかミキサーでビーズを常に動かしていれば底部から灰を回収できて楽だ。
            なんか薪ストーブみたいだな。使い捨てカイロというよりハッキンカイロ?

            • by Anonymous Coward

              > まだ研究段階だろけど、鉄ビーズは無期限に使えるし炎の形で燃焼しないなら炉の寿命も延びるし、いいことづくめな気がしてきた

              鉄ビーズは最初は酸化鉄で、反応後は酸素を放出して還元されちゃってますよね。
              だから、鉄ビーズを回収して酸化させるという工程が必要になる。

              それとも、一旦反応が始まったら、別に酸素を供給するのでしょうか。
              それじゃあ、普通に流動床炉になっちゃいますね。

        • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 9時30分 (#2332638)

          メリットはこれじゃなくてですか?(´・ω・`)

          今回の技術があれば発生した二酸化炭素の99%を回収して封じ込めることができるそうだ

          # つか、生産能力の絶対値じゃなくて、既存との効率の差の方が重要な気が。。。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            石炭ガス化でSOFC型燃料電池の方が発電効率が高くて二酸化炭素の純度も高そうなんだがな…蒸気タービン回すってスチームパンクな技術が売り?

            • by Anonymous Coward

              えっ?
              いまどき原子力発電の仕組みも火力発電の仕組みも知らない人?

              SOFCやらよりよっぽど一般的だと思うんだが。。。
              原発の模式図なんて3.11でさんざんTVに出まくってたのに。

              • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 12時50分 (#2332816)

                別AC(#2332638)ですが、

                SOFCやらよりよっぽど一般的だと思うんだが。。。

                既存の火力/原子力発電が、SOFCやらの燃料電池による方式よりも一般的ということですか?
                それは既存技術なので当たり前の気が、、、(なにか読み違いをしてたらご指摘おねがいします)

                ところで、
                http://www.mhi.co.jp/technology/business/power/sofc/sofc_development.html [mhi.co.jp]

                固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は運転温度が約1,000度と高いことから、排熱の有効利用により高効率の発電システムが可能となります。まず、SOFC+排熱回収システム(図1)では熱利用度が高い蒸気が回収でき、都市ガス焚き200キロワット級システムで送電端発電効率45パーセント(LHV:Lower Heating Value、低位発熱量。以下同様)総合効率80パーセントが期待できます。

                へー(´・ω・`)

                親コメント
              • by Anonymous Coward

                多分、新開発技術は既存技術よりも一般的じゃなきゃ新規の意味が無いって思想なのでしょう

              • by Anonymous Coward

                ちゃうちゃう。

                「エネルギーはエネルギーだが、電気に変換できない」という発言の後での
                「蒸気タービン回すってスチームパンクな技術が売り?」に対する突っ込み。

                蒸気タービン回して発電なんて一般的だろという話。なんでスチームパンクとか言い出してんだよと。
                熱エネルギーが取り出せるなら蒸気タービンつかって電気取り出せるよというレスに、
                「スチームパンクな技術が売り?」なんて返しが来るのは変だろ。
                このシステムの売りは書いてあるとおり高効率なCO2の回収なんだからさ。

                別にペルチェとかでもいいから蒸気タービンでなくてもいいけど、
                「エネルギーはエネルギーだが、電気に変換できない」という発言に対する
                反論としては十分でしょ。

                新規開発技術が既存技術より一般的というのは意味不明。
                何で出来たばっかの技術がもう一般に普及してんのさ。
                このストーリーでは発熱システムの話がメインだから、
                得られた熱をどう電力に変換するかは特に書いてないからメインではないと思ってる。

            • by Anonymous Coward

              火力発電や原子力発電でも蒸気タービン回してますが?

      • by Anonymous Coward

        つまりこうゆう事?

        使い捨てカイロ
        4Fe+3O2→2Fe2O3+反応熱
        鉄の酸化反応

        今回のは
        2Fe2O3+3C→4Fe+3CO2+反応熱
        鉄の還元反応

  • これ、空気中から酸素取ってないから、
    宇宙や海底で蒸気機関が炊けるやん!!!

    と、一瞬、ワクテカしたあと、そのあとの展開に詰まりました。。。

    • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 12時55分 (#2332822)

      酸化鉄を使ってるから、要は火薬焚いてるのと一緒なわけで。
      酸化鉄の供給が切れたらそれまで。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      「双子惑星恐怖の遠心宇宙船」が実現するとは

    • by Anonymous Coward

      酸素の供給源が水からだと面白いけど、エネルギー的にそんなことは無いわけでw

      • by Anonymous Coward

        この場合酸素の供給源は酸化鉄だよ。
        #件の人が詰まったのはそこではない。

  • のより効率いいんなら、あとはその他の開発にかかる投資次第なのかな。

  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 12時09分 (#2332764)

    http://www.netl.doe.gov/publications/proceedings/09/CO2/pdfs/5289%20Oh... [doe.gov]

    燃焼廃ガスに窒素が混じらないのでCO2回収がしやすいとか、熱媒流体に水分や硫黄酸化物が入らないので腐食しにくい
    といったあたりがメリットでしょうか(いや知りませんが)。
    鉄ビーズというのは重く動力を要する割に反応面積が小さく、また反応器自体を削り取るので、工業的にはナンセンスです。
    これも資料の方では酸化物を(何かバインダーで?)固めたペレットまたは粉末のようです。

    • 窒素酸化物が出来ないのもメリットかなー。
      還元された鉄を酸化鉄に戻すときに空気を使うとしても、窒素を巻き込まないなら意味があるかも。

      --
      the.ACount
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      そう言われてみると、
      触媒ならともかく、石炭を燃やす酸素の供給源の酸化鉄ビーズが直径1.5ミリって、ちょっと大きすぎるような。
      もっと細かくないと表面積的に効率悪いですよね。

    • by Anonymous Coward

      蒸気タービン回して発電なんて用途向きでは無さそうですね
      地域暖房の熱源+回収したCO2の産業利用などには使えるのかな?

    • by Anonymous Coward

      仮に金属鉄まで還元するとしても
      2Fe2O3 + 3C → 4Fe + 3CO2
      鉄1モルに対して燃焼する炭素は0.75モル
      鉄56kgを持ち上げて降ろすと9kgの炭素を燃やせる?
      ・・・全く成立しそうにないけど考え方間違えてるかな・・・

      あと石炭灰の性状が何も書いてないけど、こんなのできれいに炭素が抜けた灰になるんだろうか。
      炭素多いとセメント屋さんが引き取ってくれないぞ。アメリカだと埋めちゃうだけかもしれないけど。

      還元反応器試験の Coal Volatile (CH4) て項目も謎。そりゃ揮発分の主成分はメタンかもしれんが、やっかいなのは重質タールの類なわけで。
      これ実際に普通の揮発分の石炭で動かしたらタールで配管閉塞してオワタになっちゃわないか。

  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 8時20分 (#2332584)
    オウチで発電は無理なの?
  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 8時37分 (#2332596)

    「石炭粒子と酸化鉄が化学反応を起こすまで熱を加えると」っていうその熱はどこから?

  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 8時39分 (#2332597)
    謎すぎ
  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 8時56分 (#2332608)

    良くわからんな。
    高炉内の反応とどう違うんだろう?
    熱い空気を吹き込まなくて良いところ?

    • by Anonymous Coward

      高炉よりは直接還元法に近いと思います。

  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 10時51分 (#2332693)

    エネルギー効率,実現の容易性,製造建設コストや運転の安全性でアドバンテージが出そうなの?

    • by Anonymous Coward

      もしかするとエネルギー効率は上がる(と期待される)のかも

      ただし、反応がゆっくりで、瞬発的なエネルギーが得られないとかそんな感じ

  • by Anonymous Coward on 2013年02月26日 15時56分 (#2332944)

    二酸化炭素を封じ込めるという発想はわかるけど、封じ込めるというだけでは芸が無いような。
    ビニールハウスや植物工場で二酸化炭素濃度を上げると成長が速くなることが知られているので、資源として再利用できないかなとも思う。
    それ以前に集めた二酸化炭素を油田やガス田に送り込むという話をよく聞くが、それも仕方がないと思うが、採掘した石油はプラスチック等の原料になるんだろ?
    地球上の炭素の物質循環を考えると、光合成により固定された炭素の大部分は利用されずに短時間で大気中に帰っている。
    むしろ未利用のバイオマス資源の有効利用を考えた方が効率がいいような気がするんだが。
    バイオマスというとすぐデンプンや油を作らせようとするが、セルロースやリグニンのほうが資源量としてははるかに大きいのでこの利用が増えれば効果は絶大だと思いますよ。

    • by Anonymous Coward

      再利用できるなら、とっくに、
      例えば火力発電所の横に巨大なビニールハウス農園作って排気を送り込むとかしてるかと。
      CO2と温風の一石二鳥。
      やっぱ細かいチリとか(規定値内とはいえ)出してるから、それが野菜についたら売り物にならないんじゃないかなあ。
      食用じゃなく、バイオ燃料用ならいいかも。

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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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