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TarZの日記: HDDはどこまで容量が「増えてよい」のか、その理論値(?)を計算してみた 4

日記 by TarZ

 オフトピなのでこちらに。

#1939849

ひょっとしたら、10TBの3.5インチHDDはありかもしれないが、100TBの3.5インチHDDは、無理かもしれない。

 HDDは、ドライブ単体としてどこまで容量が「増えてよい」のか。以前、ある条件下での理論値(?)を計算してみたことがあるので、その数値などを書いてみます。
(なお、ここでいう「増えてよい」とは、その容量が「技術的に達成可能か」ではありません。「増える意味があるのか」という意味です)

 ご存じのように、HDDの容量はどんどん増加していますが、データ転送速度はそれほど向上していません。まずI/Fの制約があるし、記録線密度はともかくディスク回転数のほうは無制限に上げるわけにもいきません。つまり、ドライブ単体の容量だけ大きくなっても、読み書き速度がそれほど大きくならないのであれば、次第にバックアップなどが困難になっていきます。
 また、HDDはいつかは故障するので、ある程度の期間運用したところで交換しなければなりません。

 つまり、運用期間とデータ転送の2つの制約があるわけです。HDDの運用中に出入りするデータに上限があるわけですから、そのHDDに記録して意味のある情報量の上限も定まります。
 これを式にすると以下の通り。

意味のあるHDD容量 = 運用期間 * 平均データ入出力速度 / ( 1 + 平均データ利用回数 )

  • 運用期間 : そのHDDが運用開始されてから、故障や定期的交換などによって廃棄されるまでの平均的な期間
  • 平均データ入出力速度 : そのHDDが運用中にデータ入出力される平均的な速度
  • 平均データ利用回数 : 書き込まれたデータが平均して何回参照されるか

 これより大きな容量があっても、運用期間内にその部分は利用されない(利用できない。記録しても読み出せないか、そもそも記録できない)ことになります。

 では、具体的な数値を仮定して式に当てはめてみます。

  • 運用期間 : 3年
  • 平均データ入出力速度 : 1Gbps
  • 平均データ利用回数 : 3 (1回書き込まれたデータは、平均すると3回読み出しされると仮定)

 この場合の上限は、3年*1Gbps/(1+3) = 2.82 PB

 条件をもっと緩くして、仮に運用期間を10年、平均データ入出力速度4Gbps、平均データ利用回数を1回(1回書いたデータを1回読むだけ)だとしても、10年*4Gbps/(1+1) = 75.2PB
 もっとも、データセンタなどで24時間ゴリゴリ利用されるHDDを想定したとしても平均データ入出力速度が 1Gbps に達することはそうそうないだろうし、実際はこれらよりも上限は低くなりそう。

 以上のことから、HDD(ドライブ単体)で意味のある容量増加は、せいぜいあと1000倍。
 今後もデータ記録密度の向上があるとしたら、2.5インチなど小型HDDの容量増に向けられることでしょう。実際、去年の時点でこんな見通しもありましたし。2011年に2.5インチHDDが3.5インチ超え

 余談ですが、48bit LBA で扱えるのは 128PBytes までなので、LBAをこれ以上拡張する必要はなさそうです。:-)

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • IO量を増やすとは、IO速度を上げる事と等価です。この場合は時間軸方向に微分すればいいだけですから。

    まずヘッドを独立駆動させる、という手があります。いまは複数のヘッドがあっても全部同じコイルで動かしています。これをヘッドごとにコイルを用意する。すると、2か所以上同時にIOできるようになる。というよりも従来はIO速度は回転速度とほぼ同値でしたが、「独立して動くヘッドの数」というパラメータを使ってIO速度を増やす、と言う手が出てくる。

    さらに、並列IOを増やすには、1つの回転軸で観点させるプラッターの数を増やす、と言う手が出てきます。従来通りのプラッター構造だとすぐ薄くするのに限界が来るのでどうやって薄い板を回転させても曲がらず、伸びず…という状態を維持できるかは素材と、駆動方式との御相談になるでしょうが。

    .

    さて、プラッターを増やそうとしても、HDDの大きさ、厚みでは1つの回転軸当たりの数には限界があります。また、HDDのケースは長方形なのに中で回転している代物は円形。どうしても無駄が出ます。そこで、1つのHDDのケースの中で回転軸を2つ以上ぶち込む、と言う発想が現れます。プラッター1つ当たりのの直径が小さくなりますが、それはそのまま回転速度向上要因に使えるので無問題。むしろ、直径の違うプラッターで構成された回転軸を複数用意する事で空間充填率を良くする、と言う手が…

    で、回転軸が複数になると、それらの間でどうやってデータ同期を取るか、と言う問題が現れます。でも、この問題は今現在でも解決する方法があってRAID……
    あれ?いつのまにか「HDDケースに収まるRAIDボックス」を作ってたよ??!

    --
    fjの教祖様
  • by Anonymous Coward on 2011年04月21日 13時14分 (#1940187)

    今あるHDDの使い方から外れた使い方をすれば、容量はいくらあってもいいかも?
    容量が十分にあれば追記型のような使い方も提案できそうですし。

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ハッカーとクラッカーの違い。大してないと思います -- あるアレゲ

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