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これけっこうあるんですよね。西欧は大抵オートロックだから、あっと思った瞬間にはもう遅い。そして、それが深夜や真夜中であったときにはほとんど恐怖だ。死の危険性さえある。おれはドイツに5年住んでいるうちに、たぶん5回以上はやってる。もちろん、自分を閉め出してしまった場合に備えて、すこし離れた公園なんかに鍵を隠しておくんだけど、これがなぜか、けっこうな確率でなくなっているんだ。犬、うさぎ、リス、人間が掘り起こして持っていっちゃうのだろうか?12時過ぎくらいだと、まだ近所の管理人を叩き起こして、合鍵を出してもらうこともできる。しかし、真冬のフランクフルトの通りを、キックパンツとランニング姿、はだしで歩いたのはかなりつらい体験ではあった。これが午前3時なんかだともうだめだ。向こうの人は寝るのが早いので、もう一軒も光の付いてる部屋がない。玄関の扉の外、通りまで出てしまっていた俺は、まだ10月だったが、凍死するかもと思った。外国人のおれが縁もゆかりもないアパートの住人を叩きおこして玄関のドアを開けてもらう勇気はない。あと2-3時間待ってれば、誰か起き出してきたら、そこの部屋の呼び鈴を押して最低玄関のドアだけ開けてもらえば、アパート内には入れる。凍死は免れる。ドイツの10月下旬はすでにかなり寒い。部屋着しか着ていなかったおれはこのままだとやばいと思い、通りのゴミコンテナをあさって、多量の新聞紙をアパートの裏に持ち込んだ。これをかぶってひたすら、2時間耐えた。新聞紙というものが本当に温かいのを知った。幸い午前5時には明かりをつけた住民がいたので、そいつの一階の部屋の前まで行って、身振り手振りで玄関を開けてくれと懇願した。そいつはびっくりした顔をしていたが、事情を察し、玄関のドアを解錠してくれた。 おれはなんとか凍死を免れた。
この記事を読んだとき、これはほんとに便利だ、画期的なサービスだとさえ思った。ただ、思い出してみると、最近の西欧のアパートの鍵は、ひとつのキーで玄関、中ドア、部屋のドアと三つくらいのドアを開ける機能があるせいか、容易に複製できないのだ。かなり業者が限られる。いまだと、電子式とかいろいろ発達しているはずなので、セブンイレブンの複写装置で作れるのはかなり旧式のタイプの鍵に限られると思う。
そこまでやばい時は、警察に駆け込めばいいんじゃないだろうか。さすがに逮捕はされまい。
日本だと、車を使わないような場所であれば、大概コンビニとかあるからどうとでもなるね。
警察といってくれるが、ドイツにいわゆる交番の類いはないんだよ。本署まで行かなければならないから、10駅くらいはある。ちなみに、近くにあった中央駅なんかも夜間は封鎖される。向こうのアパートは要塞のようになってるから、塀を越えて忍び込むなんてできない、すべて一階の窓に鉄格子がはまってるし。ドイツの街には24時間開いている店なんて一軒もないから、人が寝静まる時間に街路に閉め出されてしまっては、ほんとにどこにも入り込む隙間はない。ほんとにあの状況になると、うっやばい、死ぬかもと思うぞ。10月に雪の降る夜もある。これじゃパトラッシュだよ。
おれは具体的には、アパートの裏の地下室に通じる階段の下に降りて、そこで新聞紙にくるまってた。そこだと風が避けられるからね。ゴミ・コンテナで新聞紙の束を見つけたときは、これでなんとかなると思ったよ。実際には2-3時間いたと思う。想像以上に寒かった。アパートに光がついたときは本当に助かったと思ったよ。
2軒目のアパートのときには24時間駆けつけてくれる管理サービスというのがあったんだけど、残念ながら金をもってないと電話もできない。別の機会だけど、午後11時頃やはり閉め出されて廊下で下着姿でふるえていたら、隣の部屋のやつが出てきた。管理人に電話したいので、10円貸してくれと言ったら、断られたよ。「おれはDVD返しに行ってくるからそれまで待ってろ」だと。また別の機会に、アパートの外まで閉め出されたので、適当な部屋の呼び鈴を押して、「3階の日本人だが、鍵を忘れたので、玄関のドアだけでも開けてくれないか」と頼んだら、信用できないと断られたよ。絶対俺のこと何度も見たことあるだろう?ドイツ人って意外にいじわるなんですよね。そのとき午前1時に叩きおこした管理人は起きてきてはくれたが、二階の窓から下着姿の俺に向かって鍵を放り投げたよ。ちなみに、おれが住んでたのは、フランクフルトでも最高級の住宅地な。回りは銀行員とか株の投資家とかそんなのばっかりよ。みんな190cmくらいある大男ばかり。(ちなみにドイツでは背が高いことがエリートの条件、管理人のおっさんでも183cmはある(平均身長)。女でも170cm以下はまずいない。おれは178cmで「君は小柄だから」ってよく言われたよ)
まあ、外国で暮らすってこんなもんだよ。これくらいでめげてたら、向こうではやっていけない。甘い考えでやってきて、身ぐるみはがされてる奴もいたよ。3ヶ月しか住んでないのに、2年分の家賃を請求されてね。でもそれ合法なんだよ。そいつは契約書の内容がわからなかった。2年契約したら2年の家賃を払う義務が生じる。誰も同情なんかしちゃくれない。事情の分からない観光客だって罰金の類いはビシバシ取られる。外国人だから、知らなかったなんて言い訳は向こうでは通らない。逆らえば一発で拘束されるぞ。
君は交番に駆け込めと言ったが、それがこういう社会ではどんなに甘い考えかわかるだろう。たしかに死ぬよりはましだろう。でも、相当な辱めに合うよ。コイツ飛び込んできやがったぜって。そんなに簡単に人に頼っちゃだめなんだよ。午前三時に通りがかりの人に近寄って10円貸してくれと言ったら、いきなり半殺しにされても文句は言えない。100%強盗だからな。死なないかぎりは自分で立っていないといけない、それが西洋だよ。
だから、この鍵サービスの話題は、おれに西欧というものの実感をぐっと思い起こさせたんだよ。向こうの街で真夜中にアパートの鍵を失くしたら、死ぬような目に遭うかもしれない。アパートの鍵を失くすということの意味が日本と西洋ではまったく違うんだよ。ドアは日本では障子のようなもので、実はなんとでもなる、西洋ではドアは文字通り鉄の扉で、鍵をなくしたら絶対に入れない。入れてはいけない。
おれは一回玄関のドアの鍵を壊してしまったことがあってね。自分が壊したとは気がつかなかった。玄関のドアを壊すということは、要塞の門を壊すのと同じで重罪だ。みんなの安全を脅かした。早速犯人探しが行なわれた。入り口に、貼り紙が出て、「ドアの鍵を壊したと思う者は、これこれの電話番号に名乗り出よ」と掲げられた。一週間ぐらい立っても犯人はわからなかった、ドアは修理されないまま放置された。けど、あるきっかけで壊したのがおれだと自分で気がついた。しょうがないから、電話して名乗り出たよ。すると、管理人の奥さんが「あのアパートには約40世帯が住んでいます、今日までまだ誰も名乗り出ていませんでした。あなたが犯人かどうかはまだ分からないけれど、よくぞ名乗り出てくれました」とほめてくれた。うるせーよ、ババー。犯人はおれだったが、修理費用は請求されなかった。ただ貼り紙がはずされ、放置されていたドアの鍵が修理されただけだ。実はみんな犯人はおれだと疑っていたらしい。日本人だから鍵の閉め方が分からないとでも?まあ、そのとおりだったんだから文句は言えないが。おれは名乗り出たんで、嫌われずに済んだらしい。そういう点ではドイツ人はすこし日本人と似ている。
面白い話をどうもありがとう。
と、同時に向こうで既存の鍵と簡単に交換できる生体認証ロックシステムとか売ったら売れるのかなあ(もしかしたらもうあるのかな)と思った。
電話する金もないようなケースなら、このサービスも利用できませんよね…。
そのような状況では、サービス中のセブンイレブンも存在してないんじゃないですかね……。
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ドイツの思い出 (スコア:3, 参考になる)
これけっこうあるんですよね。西欧は大抵オートロックだから、あっと思った瞬間にはもう遅い。
そして、それが深夜や真夜中であったときにはほとんど恐怖だ。死の危険性さえある。
おれはドイツに5年住んでいるうちに、たぶん5回以上はやってる。
もちろん、自分を閉め出してしまった場合に備えて、すこし離れた公園なんかに鍵を隠しておくんだけど、
これがなぜか、けっこうな確率でなくなっているんだ。犬、うさぎ、リス、人間が掘り起こして持っていっちゃうのだろうか?
12時過ぎくらいだと、まだ近所の管理人を叩き起こして、合鍵を出してもらうこともできる。
しかし、真冬のフランクフルトの通りを、キックパンツとランニング姿、はだしで歩いたのはかなりつらい体験ではあった。
これが午前3時なんかだともうだめだ。
向こうの人は寝るのが早いので、もう一軒も光の付いてる部屋がない。玄関の扉の外、通りまで出てしまっていた俺は、
まだ10月だったが、凍死するかもと思った。外国人のおれが縁もゆかりもないアパートの住人を叩きおこして玄関のドアを
開けてもらう勇気はない。あと2-3時間待ってれば、誰か起き出してきたら、そこの部屋の呼び鈴を押して最低玄関のドアだけ
開けてもらえば、アパート内には入れる。凍死は免れる。ドイツの10月下旬はすでにかなり寒い。
部屋着しか着ていなかったおれはこのままだとやばいと思い、通りのゴミコンテナをあさって、多量の新聞紙をアパートの裏に
持ち込んだ。これをかぶってひたすら、2時間耐えた。新聞紙というものが本当に温かいのを知った。
幸い午前5時には明かりをつけた住民がいたので、そいつの一階の部屋の前まで行って、身振り手振りで玄関を開けてくれと懇願した。
そいつはびっくりした顔をしていたが、事情を察し、玄関のドアを解錠してくれた。 おれはなんとか凍死を免れた。
この記事を読んだとき、これはほんとに便利だ、画期的なサービスだとさえ思った。
ただ、思い出してみると、最近の西欧のアパートの鍵は、ひとつのキーで玄関、中ドア、部屋のドアと
三つくらいのドアを開ける機能があるせいか、容易に複製できないのだ。かなり業者が限られる。
いまだと、電子式とかいろいろ発達しているはずなので、セブンイレブンの複写装置で作れるのは
かなり旧式のタイプの鍵に限られると思う。
Re: (スコア:0)
そこまでやばい時は、警察に駆け込めばいいんじゃないだろうか。さすがに逮捕はされまい。
日本だと、車を使わないような場所であれば、大概コンビニとかあるからどうとでもなるね。
Re:ドイツの思い出 (スコア:4, 参考になる)
警察といってくれるが、ドイツにいわゆる交番の類いはないんだよ。本署まで行かなければならないから、10駅くらいはある。ちなみに、近くにあった中央駅なんかも夜間は封鎖される。
向こうのアパートは要塞のようになってるから、塀を越えて忍び込むなんてできない、すべて一階の窓に鉄格子がはまってるし。
ドイツの街には24時間開いている店なんて一軒もないから、人が寝静まる時間に街路に閉め出されてしまっては、ほんとにどこにも入り込む隙間はない。ほんとにあの状況になると、うっやばい、死ぬかもと思うぞ。10月に雪の降る夜もある。これじゃパトラッシュだよ。
おれは具体的には、アパートの裏の地下室に通じる階段の下に降りて、そこで新聞紙にくるまってた。そこだと風が避けられるからね。ゴミ・コンテナで新聞紙の束を見つけたときは、これでなんとかなると思ったよ。実際には2-3時間いたと思う。想像以上に寒かった。アパートに光がついたときは本当に助かったと思ったよ。
2軒目のアパートのときには24時間駆けつけてくれる管理サービスというのがあったんだけど、残念ながら金をもってないと電話もできない。
別の機会だけど、午後11時頃やはり閉め出されて廊下で下着姿でふるえていたら、隣の部屋のやつが出てきた。管理人に電話したいので、10円貸してくれと言ったら、断られたよ。「おれはDVD返しに行ってくるからそれまで待ってろ」だと。また別の機会に、アパートの外まで閉め出されたので、適当な部屋の呼び鈴を押して、「3階の日本人だが、鍵を忘れたので、玄関のドアだけでも開けてくれないか」と頼んだら、信用できないと断られたよ。絶対俺のこと何度も見たことあるだろう?ドイツ人って意外にいじわるなんですよね。
そのとき午前1時に叩きおこした管理人は起きてきてはくれたが、二階の窓から下着姿の俺に向かって鍵を放り投げたよ。
ちなみに、おれが住んでたのは、フランクフルトでも最高級の住宅地な。回りは銀行員とか株の投資家とかそんなのばっかりよ。みんな190cmくらいある大男ばかり。(ちなみにドイツでは背が高いことがエリートの条件、管理人のおっさんでも183cmはある(平均身長)。女でも170cm以下はまずいない。おれは178cmで「君は小柄だから」ってよく言われたよ)
まあ、外国で暮らすってこんなもんだよ。これくらいでめげてたら、向こうではやっていけない。甘い考えでやってきて、身ぐるみはがされてる奴もいたよ。3ヶ月しか住んでないのに、2年分の家賃を請求されてね。でもそれ合法なんだよ。そいつは契約書の内容がわからなかった。2年契約したら2年の家賃を払う義務が生じる。誰も同情なんかしちゃくれない。事情の分からない観光客だって罰金の類いはビシバシ取られる。外国人だから、知らなかったなんて言い訳は向こうでは通らない。逆らえば一発で拘束されるぞ。
君は交番に駆け込めと言ったが、それがこういう社会ではどんなに甘い考えかわかるだろう。たしかに死ぬよりはましだろう。でも、相当な辱めに合うよ。コイツ飛び込んできやがったぜって。そんなに簡単に人に頼っちゃだめなんだよ。午前三時に通りがかりの人に近寄って10円貸してくれと言ったら、いきなり半殺しにされても文句は言えない。100%強盗だからな。死なないかぎりは自分で立っていないといけない、それが西洋だよ。
だから、この鍵サービスの話題は、おれに西欧というものの実感をぐっと思い起こさせたんだよ。向こうの街で真夜中にアパートの鍵を失くしたら、死ぬような目に遭うかもしれない。アパートの鍵を失くすということの意味が日本と西洋ではまったく違うんだよ。ドアは日本では障子のようなもので、実はなんとでもなる、西洋ではドアは文字通り鉄の扉で、鍵をなくしたら絶対に入れない。入れてはいけない。
おれは一回玄関のドアの鍵を壊してしまったことがあってね。自分が壊したとは気がつかなかった。玄関のドアを壊すということは、要塞の門を壊すのと同じで重罪だ。みんなの安全を脅かした。早速犯人探しが行なわれた。入り口に、貼り紙が出て、「ドアの鍵を壊したと思う者は、これこれの電話番号に名乗り出よ」と掲げられた。一週間ぐらい立っても犯人はわからなかった、ドアは修理されないまま放置された。けど、あるきっかけで壊したのがおれだと自分で気がついた。しょうがないから、電話して名乗り出たよ。すると、管理人の奥さんが「あのアパートには約40世帯が住んでいます、今日までまだ誰も名乗り出ていませんでした。あなたが犯人かどうかはまだ分からないけれど、よくぞ名乗り出てくれました」とほめてくれた。うるせーよ、ババー。犯人はおれだったが、修理費用は請求されなかった。ただ貼り紙がはずされ、放置されていたドアの鍵が修理されただけだ。実はみんな犯人はおれだと疑っていたらしい。日本人だから鍵の閉め方が分からないとでも?まあ、そのとおりだったんだから文句は言えないが。おれは名乗り出たんで、嫌われずに済んだらしい。そういう点ではドイツ人はすこし日本人と似ている。
Re: (スコア:0)
面白い話をどうもありがとう。
と、同時に向こうで既存の鍵と簡単に交換できる生体認証ロックシステムとか売ったら売れるのかなあ(もしかしたらもうあるのかな)と思った。
Re: (スコア:0)
電話する金もないようなケースなら、このサービスも利用できませんよね…。
Re: (スコア:0)
そのような状況では、サービス中のセブンイレブンも存在してないんじゃないですかね……。
Re: (スコア:0)
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