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高浜の津波想定は十分? 相次ぐ引き上げ、新たな痕跡も:朝日新聞デジタル [asahi.com]
揺れや津波高の想定は、過去の災害の文献や、地質などの調査が根拠になる。高浜原発周辺への津波については、ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスの「日本史」や京都の神社に伝わる「兼見卿記(かねみきょうき)」といった文献に、天正地震(1586年)のころに若狭に大津波が押し寄せ、多くの人が死亡した旨の記述がある。
天正地震は内陸地震なのになぜ津波の話が出てくるのかと思って調べてみたら、「天正地震に関する欧州史料の素性と確実な内容」 [nii.ac.jp]にこうあった。
日本側
1586年天正地震の震源域と津波 [nii.ac.jp](歴史地震 (30), 75-80, 2015)で羽鳥氏による説明から。
静岡文化芸術大,日本史家の磯田道史氏が「罪作りなフロイス」の見出しで,関連史料を集めて論説している(2012年3月28日読売新聞朝刊).その記事に「若狭の国内貿易の為に屡々交通する海境に小市街あり,此処は数日の間烈しく震動し,之に継ぐに海嘯(津波)を以てし,激浪の為に地上の人家は皆な一掃して海中に流入し,恰も元来無人の境の如く全市を乾浄したり」とある.若狭の港町に津波が遡上したと結論した.波高はおそらく 4-5 m に達したであろう.津波マグニチュードは m=2 に推定され[飯田(1981)],Δ―H図による平均値も同値になる.若狭湾岸の津波遡上域は,不確定である[松浦(2012a,2012b)],最近,若狭の水月湖(三方五湖)で堆積物が調査されたが[関西電力株式会社(2011)],天正地震に対応する層相の変化はなかった.さらに,斉藤・他(2012)の水月湖調査も,天正地震の痕跡は認められず,水月湖岸に被害を与える規模でなかった,としている.
天正地震と連動する形で起きた津波の高さは 4-5m ではないかという試算があるとのこと。なお出典として明示されている松浦(2012a)は親コメントで広く引用した「天正地震に関する欧州史料の素性と確実な内容」のこと。
なお高浜発電所3,4号機の新規制基準適合性審査で提出した資料 [nsr.go.jp]に、関電が想定した津波の情報がある。6.2m という数字は「若狭海丘列付近断層と隠岐トラフ海底地すべり」より。
「水月湖ボーリングコアを用いた天正地震(AD1586)前後の湖底堆積物の分析」 [jst.go.jp](地学雑誌Vol. 122 (2013) No. 3)
水月湖を津波の検出計として見た場合、(略)海岸から4.8km以上陸上あるいは浅い湖(久々子湖)を遡上する津波であれば海浜砂や低湿地の堆積物を運搬し水月湖の堆積物中に痕跡を残した可能性が高いが、それより小規模の津波については水月湖のデータからその有無を検証することができない。水月湖に津波の記録があった場合、海岸線の位置を現代と同じとするならば、得られる結果は、津波が少なくとも4.8km以上内陸に及んだとする下界(下限でないことに注意)推定である。同様に、水月湖に津波の記録がなかった場合に得られる結論は、津波が4.8km内陸には及ばなかったとする上界(上限ではない)推定である。(略)今回の研究では、堆積物試料を連続的に分割し、その全量を分析に供したため、珪藻群集を観察していない層準は理論上存在しない。すなわち1586年に相当する層準において、海生珪藻は実際に検出限界以下であった。この結果に基づくかぎり、水月湖湖心における海底や久々子湖由来の砕屑物の堆積、あるいは大規模な海水の侵入による水月湖湖水の塩分変化はなかったと考えるのが妥当である。 以上のことから、西暦1586年の天正地震の際には、水月湖に堆積物を運搬するような海水の遡上はなかった可能性が高いことを指摘する。つまり、若狭湾沿岸に被害を与えたとされる1586年天正地震は、仮にその発生自体が史実であったとしても、水月湖の沿岸に被害を与える規模のものでなかった可能性が高い。(略)過去620年分の水月湖の地質学的記録を根拠にするかぎり、若狭湾岸でこのような規模(浸水高および遡上高が10mを超える東日本大震災クラス)の津波の発生を想定する必然は認められない。しかしながら、本研究は、16世紀より前に起こったより大規模な津波の可能性を否定するものではない。また、西暦1586年に小規模な津波が発生した可能性まで排除するものではない。
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天正地震に関する文献資料について (スコア:5, 参考になる)
高浜の津波想定は十分? 相次ぐ引き上げ、新たな痕跡も:朝日新聞デジタル [asahi.com]
天正地震は内陸地震なのになぜ津波の話が出てくるのかと思って調べてみたら、「天正地震に関する欧州史料の素性と確実な内容」 [nii.ac.jp]にこうあった。
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
別資料、「1586年天正地震の震源域と津波」より (スコア:2)
1586年天正地震の震源域と津波 [nii.ac.jp](歴史地震 (30), 75-80, 2015)で羽鳥氏による説明から。
天正地震と連動する形で起きた津波の高さは 4-5m ではないかという試算があるとのこと。なお出典として明示されている松浦(2012a)は親コメントで広く引用した「天正地震に関する欧州史料の素性と確実な内容」のこと。
なお高浜発電所3,4号機の新規制基準適合性審査で提出した資料 [nsr.go.jp]に、関電が想定した津波の情報がある。6.2m という数字は「若狭海丘列付近断層と隠岐トラフ海底地すべり」より。
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
水月湖ボーリングコアを用いた天正地震(AD1586)前後の湖底堆積物の分析 (スコア:1)
「水月湖ボーリングコアを用いた天正地震(AD1586)前後の湖底堆積物の分析」 [jst.go.jp](地学雑誌Vol. 122 (2013) No. 3)
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ