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"Batteries for Efficient Energy Extraction from a Water Salinity Difference"F.L. Mantia et al., Nano Lett., 11, 1810–1813 (2011) [doi.org]
単純に言えば以下の反応を使った電池.5MnO2 + 2Ag + 2NaCl ↔ Na2Mn5O10 + 2AgCl
MnO2とAg電極を塩水につけるとイオンが浸透していき電流が流れ,Na2Mn5O10とAgClを真水につけるとイオンが抜けていって逆向きに電流が流れる.
>二酸化マンガン(MnO2)はマンガン電池にも使われているありふれた物質なので
ところがそう簡単な話ではなく.実はMnO2を含むMn酸化物ってものすごく結晶多形の多い物質で,様々な結晶構造を取っています.特にアルカリメタルなどを取り込むと本当にいろいろな形が出来る.基本的な構造はMnの周囲に6つの酸素が配意した8面体構造です.このブロックが,隣接するブロックと辺を共有して繋がったり,頂点共有で繋がったり,はたまた一部の辺はどことも共有していなかったり,ということで凄くいろいろな構造を取ります.通常の電池に使われるのはγ-MnO2という構造.ただこいつの微視的な構造に関してはまだいろいろ議論があったような……今回使ってるのは,(今ちょっと自宅なんで関連のreferenceが見えないのですが)最初Na2Mn5O10として作っているので,ホランダイト型かそれに類するものじゃないかと思います.
*ホランダイト構造:8面体ユニットが縦にn個,横にm個繋がって壁面となることでn×mのトンネルとなり,それが高さ方向にずっと続いてるような構造.m=∞とすると層状化合物に相当.2×2だとちょうどアルカリメタルが入りやすい.他にも1×1とか1×2とか1×3とか2×3とかとにかくいっぱい構造がある.トンネルの端からイオンが抜けたり入ったり出来る事もある(それに応じてMnの酸化数も変わる).
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論文はこれ (スコア:5, 参考になる)
"Batteries for Efficient Energy Extraction from a Water Salinity Difference"
F.L. Mantia et al., Nano Lett., 11, 1810–1813 (2011) [doi.org]
単純に言えば以下の反応を使った電池.
5MnO2 + 2Ag + 2NaCl ↔ Na2Mn5O10 + 2AgCl
MnO2とAg電極を塩水につけるとイオンが浸透していき電流が流れ,Na2Mn5O10とAgClを真水につけるとイオンが抜けていって逆向きに電流が流れる.
Re: (スコア:0)
Re:論文はこれ (スコア:5, 参考になる)
>二酸化マンガン(MnO2)はマンガン電池にも使われているありふれた物質なので
ところがそう簡単な話ではなく.
実はMnO2を含むMn酸化物ってものすごく結晶多形の多い物質で,様々な結晶構造を取っています.特にアルカリメタルなどを取り込むと本当にいろいろな形が出来る.
基本的な構造はMnの周囲に6つの酸素が配意した8面体構造です.このブロックが,隣接するブロックと辺を共有して繋がったり,頂点共有で繋がったり,はたまた一部の辺はどことも共有していなかったり,ということで凄くいろいろな構造を取ります.
通常の電池に使われるのはγ-MnO2という構造.ただこいつの微視的な構造に関してはまだいろいろ議論があったような……
今回使ってるのは,(今ちょっと自宅なんで関連のreferenceが見えないのですが)最初Na2Mn5O10として作っているので,ホランダイト型かそれに類するものじゃないかと思います.
*ホランダイト構造:8面体ユニットが縦にn個,横にm個繋がって壁面となることでn×mのトンネルとなり,それが高さ方向にずっと続いてるような構造.m=∞とすると層状化合物に相当.2×2だとちょうどアルカリメタルが入りやすい.他にも1×1とか1×2とか1×3とか2×3とかとにかくいっぱい構造がある.トンネルの端からイオンが抜けたり入ったり出来る事もある(それに応じてMnの酸化数も変わる).