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HP研究所、第4の受動素子の製造に成功 39

ストーリー by Acanthopanax
ミッシング・リンク 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

抵抗・コンデンサ・インダクタに続く第4の受動素子「メモリスタ(memristor)」の製造にHP研究所が初めて成功した(EETimes Japanの記事Nature掲載論文)。抵抗値を変化させることで、その素子を通過する電流の変化を記憶する特性を備えている素子の存在の可能性は1971年に既に指摘されていたが、これまでそれが実現されることはなかったとのことだ。今回HP研究所が実現したメモリスタは、二酸化チタン(TiO2)の薄膜を利用して作成されており、電流が通過すると抵抗値が変化する。また、微細化を進めても無駄な消費電力による発熱の問題は生じないので、ナノスケールの回路作成に向いているということだ。HPでは、メモリスタを超高密度クロスバー・スイッチに適用することを目指しているという。

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  • 極小メモリ素子 (スコア:5, 参考になる)

    by flutist (16098) on 2008年05月08日 20時23分 (#1341136)
    ただでさえ新技術ネタは「へぇすごいねぇ」で終わりがちなのに、このタレコミ文章ではネタが身近に感じられない。

    ・素子内を通過した電荷量に応じて、その素子の抵抗値が変わる現象を利用する
    ・電流を逆に流せば抵抗値をリセットできる
    ・従って、抵抗値をメモリとして利用できる
    ・素子は原子スケールですっごく小さいので、高集積化できる

    Nature の紹介記事には、電極やメモリスタとして働く部分の形成技術、抵抗値の変化できる幅、メモリスタの特性そのものについての理解などにまだまた進歩が必要とある。しかし、業界関係者の間ではムーアの法則もあと10年が限界だと見られているが、これをさらに伸ばせる技術だ、ともある。

    専門用語を並べる前に、分かりやすい言葉を使って説明してくれ。> あるAnonymous Coward
    (ウコギさんも頼むよ)

    ちなみに 1971 年の人は Leon Chua と言って、ご存命の様子。Memory Resister を略して memoristor と名付けたそうな。
    • by shiraga (14233) on 2008年05月08日 20時41分 (#1341145)
      > 従って、抵抗値をメモリとして利用できる

      Nature Podcastでは、この部分を特に強調してましたね。
      さらに
      1. メモリの保持に電力を必要としない
      2. 微細化は、むしろこの素子の動作に関しては有利に働
      といった点も。
      親コメント
      • メモリの内容保持に電力がいらないって事はフラッシュメモリ代わりとして使えるって事でしょうか?
        高速なフラッシュメモリ置き換えとか、メインメモリの内容電源切っても再起動時にスリープからの復帰に使える・・・と。

        逆にメモリクリアするためにシャットダウンコマンドは終了時か起動時にメモリクリアの処理が必要・・・と。
        (BIOS画面のメモリチェックがその代わりになるのかな・・・でも1Byteずつ書き換えると起動すっごいおそそう・・・)
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2008年05月09日 0時43分 (#1341259)
          >メモリクリアするためにシャットダウンコマンドは終了時か起動時にメモリクリアの処理が必要・・・と。

          ちょっと違うと思う。

          今主流のパソコン(?)用OSは、実用されてる二種類の「速いが揮発」「不揮発だが遅い」というそれぞれションボリな能力しか持たない記憶デバイスに最適化している。それらを組み合わせてなんとかヤリクリするというスタイルだ。

          が、もし今回の素子(あるいはそれ以外の何か)により、「速くて不揮発」なメモリが手に入るようになってしまったとしたら?

          2種類のメモリの性質の違いをヤリクリすべく、何かするたびにいちいちデータを一方から他方にコピーする、という面倒なスタイルを採る必要はもはや無くなる。

          カーネルもアプリもデータも、いちいちRAMにコピる必要なんか無く、そこ(ディスク?メモリ?)から直接起動しちまえばいいんだ。

          そして"終了"時にメモリ(少なくともコード領域のぶんの)を放棄するっていう必要もまた無くなる。それらは同じところに居座り続ければいいんだ。というかそもそも"終了"する必要が有るかどうかすら怪しい。

          そう。ブートもシャットダウンも、そもそも不要になるんだ。

          まあ初回のブートストラップくらいは必要だろうけど、
          ただ、それは、どちらかというと今日のOSでいう「ディスクのフォーマット」や「OSのインストール」に近い風景になるんじゃなかろうか?
          だって最初に一発やればいいんだから。

          (そしてZFSのようなやりかたを採用すればフォーマット作業すら不要になる…んだっけ?)

          論理的だけじゃなくハードレベルでも「ワンレベルストア」だな。
          あるいはSmalltalk/Squeakの「イメージファイル」のようなものがもっと進んで、そもそもイメージを(ファイルに)落とす必要すら無くなるだろう。

          そもそもPCの雰囲気がガラっと変わる。
          (それ以外のデバイスのことをさておくならば)
          PCは全く任意のタイミングで電源落としてもかまわなくなる。
          なにせ電気が切れてもRAM(?)はきえなくなるんだから。
          何の遠慮もなく電池を抜いて大丈夫だ。
          また使いたくなったら電池を刺せば元通りに動く。

          つきつめれば演算したいときだけ電気を流せばいい、ということになるだろう。…おや?もしかすると省電力にもなるかも?

          ちなみにこの方式はデメリットも無いわけではない。
          最たるものは、「みんなが馴染んだ」UNIX方式と相性が悪いという点だ。
          つまり永遠の論争のネタであるところの「終了時のfree()は要るか?」という問題に、さらなる面倒が持ち込まれるのだ。どーせ旅のRAMは掻き捨て(だからfree不要)と思えるのがUNIX方式だが、これからはそれが通用しなくなる。

          (なお、今回の素子が遅いならば、それは単にFLASHやHDDの後釜になるだけのこと。終了。)
          親コメント
          • by albireo (7374) on 2008年05月09日 3時47分 (#1341288) 日記
            ストレージと主記憶が統合できても、CPUキャッシュやパイプラインはどうなんでしょうか?
            そこまで保持できなきゃ「いつでもブチッと電源落とせる」というより「シャットダウンとスリープが等価になる」という話だと思うのですが。
            それにHDDを駆逐するにはビット単価も十分に安くならないと…

            それでも実用品として普及しだすと、いろいろと大きく変わりそうでわくわくしますね。
            --
            うじゃうじゃ
            親コメント
            • by nekopon (1483) on 2008年05月09日 8時32分 (#1341330) 日記

              機器の電源を切ってもデータが残る回路 [nikkei.co.jp](ROHM)だそうなので、組み合わせたら面白いことになるかもですよ。

              # maiaさんの日記より借用

              親コメント
            • by Anonymous Coward
              >CPUキャッシュや

              それも含めて程度問題でしょうね。
              もし十分速いなら、CPUのレジスタにいたるまでをも同質ストレージにまとめてしまえるのだから。
              十分速くなかったら、従来アーキテクチャを持ち越すしかない。

              なお、レジスタのように少量のデータなら、
              シャットダウンの一瞬で不揮発領域に退避する(という処理を隠蔽する)
              ということは分野によっては既に行われています。
              隠蔽してるので一見レジスタが不揮発に見える。
              もし性能が足りなければ(あるいは高価すぎるなら)こうやって逃げることになると思われます。
          • なんか・・・OSASKのファイルシステムの説明を思い出しました。
            http://osask.jp/filesystem.html [osask.jp]

            でも、アプリの終了もデータの保存も必要ないって言うのはどうなのかな・・・
            あくまで既存のOSを使うと仮定しての話ですが。

            >つまり永遠の論争のネタであるところの「終了時のfree()は要るか?」という問題に、さらなる面倒が持ち込まれるのだ。
            >どーせ旅のRAMは掻き捨て(だからfree不要)と思えるのがUNIX方式だが、これからはそれが通用しなくなる。
            >
            仮に、この技術でDDR2-SDRAM互換のメモリができたとして(別に新しい名前のhogeRAM+対応したチップセットでも良いですが)
            Windowsや行儀の悪いアプリがメモリを解放しないで終了とか、データの保存はやっぱり必要になるでしょうし
            (常に編集中のファイルが更新されると嫌な気もする)

            現行Windows以外の何か新しいOS(たとえばOSASKとか?)で使う場合は有益そうですが・・・
            親コメント
            • >仮に、この技術でDDR2-SDRAM互換のメモリができたとして(別に新しい名前のhogeRAM+対応したチップセットでも良いですが)
              >Windowsや行儀の悪いアプリがメモリを解放しないで終了とか、データの保存はやっぱり必要になるでしょうし
              >(常に編集中のファイルが更新されると嫌な気もする)

              なんでさ?
              十分に広大なメモリ空間が手に入るなら、WordにしろExcelにしろ
              現時点での作業対象の状態と一緒に作業対象に対する操作履歴を積み上げておけばいんだぜ?
              そうすりゃクラッシュしても(まともに動いていた)任意の場所で復旧できる。

              んで、人様にお渡しする時とか適当なタイミングで操作履歴を削ればいい。
              --
              ごめんなさい。
              親コメント
            • by Anonymous Coward
              上の者です。

              >OSASK

              思いっきりOSASK(やOmicron OS)を念頭においてます。

              ただOSASKやOmicronはあくまで既存PCの上に構築したOSなので、
              既存のメモリアーキテクチャを
              仮想的にワンレベルストアに見えるようにしてあることになり、
              今回の「ハード的/素子的にもワンレベル」という話とはちょっと違います。

              というかOSどころかCPU(ここではi386)も
              二層メモリ構成であることを前提とした設計なのですね。
          • by ots556556 (34248) on 2008年05月09日 11時03分 (#1341378)
            「困ったときの再起動」が通用しなくなるのは困る…。

            主記憶装置と補助記憶装置がハード的には統合されるとしても、プログラム実行用の領域へのコピーは必要では。
            直接起動はプログラムがやんちゃした時のリスクが大きそうだ。
            親コメント
            • by Anonymous Coward
              >プログラム実行用の領域へのコピーは必要では。

              いや、それこそ不要なものの最たるものじゃないですか?

              ある状況(つまりあるプロセス)から見ての、その領域への「書き込み権限」を、奪ってしまえば済むんですから。
              この場合の「あるプロセス」とは、「そのプログラムを実行しようとしてるプロセス」です。
              コード領域への書き込みを禁じるという措置は、既存OSでもよくおこなわれていますよね。一言でいえば「自己書き換えの禁止」って奴。あれです。

              コード領域じゃなくデータの話でしたら、
              それはコピーしたほうが良いでしょうけど、
              それは「事前にバックアップファイルを作っておく
          • by Anonymous Coward
            > そう。ブートもシャットダウンも、そもそも不要になるんだ。

            ブートもシャットダウンも必要だろう。

            もしブートがないとしたら、誰が初回に起動する事になるのか大問題になるし、
            シャットダウン出来ないとしたら、収拾のつかない悪さした場合にどうやってごまかすのさ?

            # ネタなので、よろしく。
            • by Anonymous Coward
              >収拾のつかない悪さ

              ジャーナルファイルシステムのようにロールバック可能な運用を、
              メモリ(?)に対しておこなう、ということになると思います。

              あるいはリビジョン管理といってもいい。
              つまり更新を予定してるブロック(?)については「チェックアウト」して更新してから「チェックイン」するというスタイル。

              これは一種の「対称型プロセッサ」ならぬ「対称型メモリ」です。
              異質な二種類のストレージを、それぞれ固定的な役割で運用するのが非対称型。
              同質なストレージの断片を、空きにあわせて動的に割り当てて使うのが対称型。
              「いま」チェックアウト領域だと割り当てた空き領域にコピーするわけですが、それがHDDかメモリかっていう区別は(論理的どころかハード的にも)もはや無い。
          • by Anonymous Coward
            メモリ上にデータが残り続けるから、
            電源断しても、あんなデータやこんなデータが外部からアクセス出来ちゃって。

            今までよりもさらにセキュリティについて対応がシビアになりそう。。。

            • by Anonymous Coward
              基本的にガードをきちんとすべきだってのはその通りなんですが、
              「今まで以上」かどうかは、どうなんでしょうねえ…

              メモリは
              (今回の受動素子という意味あいじゃなく、計算機デバイスにおける論理的な位置づけとして)
              受動デバイスなので、
              能動デバイスであるCPUが無ければ基本的には読み書きできません。

              そのPCのCPUが停止した状態で、どうやってメモリにお伺いを立てれるんでしょうか?という話になるはずです。

              もちろん別のCPUを接続してしまえばぶっこ抜き放題になってしまうのですが、
              それは、既存PCでも、「ハードディスクを外して別PCに接続すればぶっこ抜き放題」なのと本質的に同じことです。

              じゃあやるべきこと(攻撃側から見ても守備側から見ても)は同じじゃないかな?
    • by Anonymous Coward on 2008年05月08日 20時41分 (#1341144)
      あの謎の素子の邦訳はメモリスタで定着したのか。ちょっと命名意図はわかるけど座りが悪いなぁとは思っていたので。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        では、「めもり☆すた」ではどうでしょうか?
        一部地域では座りが良くなります。
    • by Anonymous Coward
      抵抗のような2端子素子であるデメリットもあるような気がする。それは入出力の分離が難しいこと。
      分離の為にトランジスタなどと組み合わせると、高集積化のメリットが失われてしまうし。

      動作原理で、電荷の移動で抵抗値が変わるというのからはEEPROMが連想される。
  • by SNT (23129) on 2008年05月08日 20時36分 (#1341140)
    低周波成分が高周波成分に影響を与えるわけだから、
    従来の周波数解析の手法とか使えなくなるよなぁと思った。

    回路設計を簡単に行うための手法開発が必要なのかなぁ。

    http://wiredvision.jp/news/200805/2008050123.html [wiredvision.jp]
    >memristorはこれまで、[カリフォルニア大学バークレー校の]Leon Chua氏が書いた一連の数学方程式の中で理論的に説明されただけのものだった。

    これで解析できるんだろうか。
  • by tama39 (35891) on 2008年05月09日 3時54分 (#1341289)
     電気部品図記号はどんなものになるでしょうね。

     あと、略号はmemory resistorから「Ms」辺りになるかと思ったものの、
    マグネット・スイッチの略号とかぶる模様。。

    # 調べてたら、JISで抵抗の記号が、ただの長方形になってて驚いた。
    # http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E9%83%A8%E5%93%81%E5%9... [wikipedia.org]
    # CADで表示しやすいようにしたのかしらん。
    • by T.Sawamoto (4142) on 2008年05月09日 11時07分 (#1341379)
      Wikipedia英語版のMemristorの項目 [wikipedia.org]にありました。

      # メモリスタ自体の説明もちょっと載ってます。
      # 磁束(電圧の時間積分)と電荷(電流の時間積分)の関係で表されるようですね。
      親コメント
      • by tama39 (35891) on 2008年05月09日 22時46分 (#1341678)

        Wikipedia英語版のMemristorの項目にありました。
         ありがとうございます。
         シュミットトリガのロジックICの記号のようなコンセプトですね。

         さて、実際に眼にする機会はいつごろになるのか。。。
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      抵抗記号が変わってるのには同じく驚いたのだけど。

      >現在では国際規格のIEC 60617を元に作成されたJIS C 0617(1997~1999年制定)に基づき長方形の箱状の図記号で図示することになっている

      その国際規格は元々どうだったのかなあ?
  • 高速化するとヒステリシス損失で発熱しそうだな。
  • by stereo_eye (26492) on 2008年05月08日 21時32分 (#1341174)
    門外漢なのでよく分からず書いているのですが...
    電流の変化を記憶する???
    電流の時間微分?を記録ってできるの?しかも受動素子で。
    これがよく分からないです。

    で、いろんなサイトの説明をみるとどうも流れた電流量を記憶するという説明が多かったです。
    これでは積分になってしまいます。

    実際はどっちなの?
  • by saratoga (23467) on 2008年05月08日 23時51分 (#1341238) 日記
    流れた電流値を記憶しているというので、思わずこんなもの [biglobe.ne.jp]を思い出してしまいました。 単なるウイスカとかだったりして。
  • by Anonymous Coward on 2008年05月09日 0時25分 (#1341251)
    できるかも。「超高密度クロスバースイッチ」が実現するならば夢ではない気もしますが。
  • by yellow tadpole (7084) on 2008年05月09日 21時29分 (#1341651) 日記
    保持時間、外来ノイズ、温度、磁場、宇宙線など、何か弱点を抱えてるはず。
    まずは単純なメモリではなく、クロスバー交換機などという特殊な用途から実用化を目指すのは、
    保持時間がさほど長くなくてもいい用途だからじゃないのかな?
    あるいは極端に高コストなので、超高性能交換機という価格相場の存在しない分野でしか商売にならないとか。
    --
    〜◍
  • by Anonymous Coward on 2008年05月09日 15時04分 (#1341517)
    と思ってぐぐってみたら、ダイオードは能動素子に分類されるのね。
    ずっと受動素子だと思ってた。
  • by Anonymous Coward on 2008年05月09日 20時54分 (#1341646)
    HPの発明したのは
    M(q(t)) = V(t) / I(t)
    のようなデバイスのような気がする
    全然磁束の話が出てこない

    M(q) = dΦm / dq
    こういうやつではないようだ

    つまり、メモリスタではないように思えるのだが。。。
typodupeerror

計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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